決算シーズン到来、 増額先取り
東京株式市場では17日、日経平均株価が一時前日比410円高の2万2959円まで値上がりした。米国株とともに落ち着きを取り戻した相場は、来週から本格化する7~9月決算発表を視野に新たな局面に入りつつある。ここでは素直に収益計画の高進ちょく銘柄に注目したい。ファンケル(4921)、エイチワン(5989)、ツガミ(6101)を狙う。
ファンケル――株価調整は十分、新CM効果に期待
ファンケルの今3月期第1四半期(4~6月)の連結営業利益は前年同期比3.7倍の45億円に拡大し、通期予想(122億円、前期比44%増)に対する進ちょく率が37%に達した。インバウンド(訪日外国人観光客)向けの化粧品や、目のピント調節機能を助ける「えんきん」などの健康食品の売上が伸びている。
インバウンドをめぐっては、9月の訪日外客数が5年8カ月ぶりに前年比マイナスに転じるなど、天候不順の影響が化粧品業界でも不安視されている。同社の株価は7月の高値6370円から先行して3割超調整している。訪日外客数は10月からは回復に向かうとの見方も強く、関連銘柄の見直し機運も高まりそうだ。「えんきん」も11月から新たなテレビCMを投下し、販促効果が期待される。上期決算は10月30日に発表する。
エイチワン――大幅減益計画は保守的、底値圏から上昇へ
自動車部品のエイチワンは業績の上積みが期待される。
今3月期の連結営業利益は前期比約2割減の68億円を見通すが、4~6月は23.7億円(前年同期比78%増)と進ちょく率35%に達した。中国市場の競争激化が逆風だが、北米の復調が収益の悪化をカバー。中国では主要取引先のホンダ(7267)の販売が苦戦しているものの、同社の単月の中国新車販売台数は前年比のマイナス幅が5月で底を打った様相だ。
今期の為替前提は1ドル=105円。ホンダが上期を同107円でみているだけに保守的だ。同じくホンダ系自動車部品のエフテック(7212)とEV(電気自動車)開発での協業に乗り出すことも好材料。株価は底値圏からの脱却が予想される。
ツガミ――受注残は高水準、通期増額先取り
工作機械のツガミは1月高値からの調整が十分に進み、相場は出直り局面に差し掛かる。好調な受注が今3月期通期の連結営業利益を計画以上に押し上げる可能性が高い。
今期の営業利益は4~6月の27億円(前年同期比75%増)に続き、7~9月も28億円程度(同56%の増益)と好調が続いたもよう。通期計画(80億円、前期比15%増)はまだ据え置いているものの、進ちょく率は上期で7割に迫るとみられ、増額確度は極めて大きい。
収益を支える受注高は、4~9月で348億円(前年同期比30%増)に膨らみ受注残高も高水準だ。業界的に根深い部分不足の問題も同社は回避しているもよう。主力の中国工場がフル稼働をキープする中、米中貿易戦争をめぐる不安心理によりピークから大幅に値下がりした株価には投資妙味がある。(10月18日株式新聞掲載記事)
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