株価は経済の先行きや企業の将来を映す鏡といわれます。中でも小売業やサービス業に属する企業の株価は、世の中の流行を映す鏡です。なぜなら、ちまたで大人気のお店や話題沸騰のサービスを提供することが業績の向上、ひいては株価の上昇につながるからです。世の中の流行やトレンドは私たちにとっても非常に身近で関心の高いもの。流行やトレンドと株価の連動性に注目すると、楽しみながら投資を始めるきっかけにもなります。
株価は社会を映す鏡。特に小売業種の株価に注目
株式市場に上場している企業は業種別に10の大分類、33の中分類に分けられています。「消費者」つまり一般の生活者を相手にしている企業は、製造業の食料品、商業の卸売業、小売業、サービス業といった業種に属しています。こうした業種に属する企業にとって、「消費者に支持されるかどうか」「提供する商品やサービスが大ヒットするかどうか」が、株価に与える影響はとても大きなものです。
特に、レストランや飲食店、居酒屋などを経営する企業は、テレビやSNSで話題になり、お店にお客が押し寄せたり、人気スポットや話題のグルメとして注目されたりすることが株価の上昇に直結することもしばしばあります。つまり、友人との会話やSNSやグルメ比較サイトの評価などを参考に、「世の中で今、何が流行っているか」を探すことが今後、株価的にも有望な外食産業を見つける手段の一つといえるのです。
外食、居酒屋チェーン店の株価には流行がある
たとえば、ここ数年、世の中ではステーキや熟成肉などお肉ブームが続いてきました。そのブームのけん引役になったのは、一人でも立ち食いでステーキやワインが楽しめるお店を展開する外食企業です。2017年、ステーキブームがピークに達するころには、その企業の株価も急上昇を開始。2017年1月から10月までの10ヵ月間で約13倍も値上がりしました。
流行している外食産業の株価が上がる、ということは、逆の見方をするなら、株価が上がっている外食産業を探せば、「今、どんなグルメやサービスが人々の間で流行となりトレンドになっているかがわかる」ということです。たとえば、2017年末には学生に人気の焼き鳥チェーンや手羽先、水炊きなどを提供する居酒屋チェーンの株価が急騰するなど、鶏料理に対する世の中の人気が高まりました。そして、2018年に入って上昇しているのは回転寿司チェーンの株価です。
回転寿司業界は、一時、寿司ネタの高騰や過当競争もあって株価が下落傾向にありました。しかし、2018年に入り、業界No.1のチェーン店が株式市場に再上場。中堅クラスの企業の統合期待が高まっていることもあり、軒並み株価が上昇しています。当然、株価の上昇には、多くの人々がこれまで以上に回転寿司チェーンを訪れ、既存店売上が回復傾向にあることも影響しています。
流行り廃りに敏感になることは投資の原点
私たちは日ごろ、生活したり働いたりする中でさまざまな企業に出会います。特に飲食チェーンなど小売業は、「このお店、今、勢いがあるな」「あの会社の新商品や新サービスが売れているな」と自分自身、実感して投資することが成功につながりやすい業種です。
株価上昇率ランキングなどに自分が利用している小売業、サービス業に属する会社が頻繁に登場するようになったら、その企業は世の中の流行に乗っている証拠です。株価に注目することで、世の中の流行り廃りを楽しんだり面白がったりしながら、それに関連した株や投資信託を探すと、楽しくワクワクした気持ちで投資を始めるきっかけになるでしょう。
(提供:フィデリティ投信)