株式投資の世界で個人投資家がプロに勝つためには、個人投資家ならではの特性を最大限生かした投資を行うことが大切です。そこで、株式投資の具体的な着眼点や投資法を詳細に解説し、多くの成功者を輩出してきた偉大な名著2作を紹介しましょう。

資産運用・株式投資の名著
(画像=miya227_Shutterstock.com)

10倍株を発掘したいなら『ピーター・リンチの株で勝つ』

ピーター・リンチの株で勝つ[新版]―アマの知恵でプロを出し抜け
(ピーター・リンチ、ジョン・ロスチャイルド 著/三原淳雄・土屋安衛 訳 ダイヤモンド社 2001/3/1)

『ピーター・リンチの株で勝つ[新版]―アマの知恵でプロを出し抜け』の著者ピーター・リンチ氏はフィデリティ・インベスメンツの株式投資信託「マゼランファンド」の資産を1977~1990年までの13年間で2,000万ドルから140億ドルまで数百倍に増やした伝説のポートフォリオ・マネージャーです。本書に掲げられた有名なキーワードは「テンバガー」、英語で株価10倍株を意味します。リンチ氏は「人生に3度か4度、「テンバガー」にめぐりあえば、あなたは億万長者になれるだろう」と語っています。

リンチ氏は、こうした10倍株を探すために企業を直接訪問して従業員や工場設備などを見学したり、対象企業の取引先への調査など、徹底した「ボトムアップアプローチ」を実践してきました。

さらに、個人投資家と同じような一般消費者としての目線も非常に大切にします。なぜなら、「少し意識的に自分の仕事や近所の商店街などで起こっていることを見るだけで、ウォール街が気がつくよりずっと以前に、すごい銘柄を見つけることができる」からだと述べています。つまり、日常生活の中での“小さな気づき”を大切にすることが、10倍株発掘の近道なのです。

10倍株は私たちの生活圏に眠っている

本書で示された、10倍株発掘のための判断基準は、下記の3つです。

・買うなら年に20~25%の成長を遂げているような小型株を狙うのが王道
・10倍株は食品や小売・流通など低成長産業といわれる分野で急速にシェア拡大している企業の中にもある
・「売っているのはドーナツやタイヤだけ」というように、なるべくシンプルでわかりやすい会社のほうがいい

自分なりに「これは!」という企業を見つけたら、その会社の成長ストーリーを「せめて2分間は」考えるようにします。リンチ氏の説くボトムアップアプローチで銘柄を発掘するアクティブ型ファンドの中には、会社の店舗などを訪れて、その企業の製品なりサービスの成長性や勢いを実地検証することで、実際に優秀な成績を収めている投資信託も多いのです。

高値を恐れず買えと説く『オニールの成長株発掘法』

オニールの成長株発掘法[第4版]
(ウィリアム・J・オニール著、 スペンサー倫亜 訳 パンローリング 2011/4/15)

一方、『オニールの成長株発掘法[第4版]』の著者ウィリアム・オニール氏はウォール街のカリスマ投資家として有名で、新興企業の中で高い成長性を遂げている株を誰よりも早く見つけて買う成長株投資のカリスマとして知られています。オニール氏が唱える有望株発掘の原則は「CAN SLIM」という7つのアルファベットで示されています。

C=「当期四半期の1株当たりの利益」が前年同期比で最低18~20%以上
A=「年間の収益増加」が毎年25~50%上昇
N=「新製品、新経営陣、新高値」。株価が驚異的に上昇するには新製品や新経営陣など新しい何かが必要。また、株価が安いことは買う理由にはならない。新高値をつけてハイリスクに見える銘柄には上昇するだけの理由がある。

上記のように、それぞれに意味があります。その投資法をまとめると、「株式市場をけん引するような成長性の高い主導株の高値を怖がらずに買っていくのがもっとも確かな方法である」「一番儲かる投資のタイミングは、弱気相場が終わり強気相場入りした直後」というものです。現在の第4版には2008年のリーマン・ショックなど大暴落相場から身を守る方法も明らかにされています。

プロの手腕を期待してアクティブ型投信を検討してみるのもあり

両氏が狙う成長株に関しては、リンチ氏が運用を手掛けた「マゼランファンド」のようなアクティブ型ファンドの品ぞろえも非常に豊富です。次々と成長株を発掘するプロの手腕に期待して、投資信託での運用を考えてみるのもいいでしょう。

(提供:フィデリティ投信