世界一の投資家といえるバフェット氏ですが、その投資の大半は、氏がオーナーを務める時価総額約58兆円の投資会社を通じて行われています。毎年、バフェット氏から株主に送られる手紙には、保有している個別株のポートフォリオが掲載されています。そのポートフォリオなどをもとに、バフェット氏のリアルタイムの投資哲学を探ってみましょう。

バフェット氏の投資会社の最新ポートフォリオとは?

資産を増やす方法
(画像=Natee K Jindakum_Shutterstock.com)

バフェット氏の資産の大半は、バフェット氏がオーナーを務める投資会社の株式です。つまり、その投資会社のポートフォリオの変遷を見れば、バフェット氏が自らの投資人生において、どんな企業やビジネスに投資してきたかが一目瞭然でわかります。

投資会社のホームページには、バフェット氏が投資会社の株主に対して送った手紙が、1977年から現在の分までインターネットに掲載され、誰もが閲覧可能です。2018年2月に株主に送られたバフェット氏からの手紙には2017年末時点に同社が保有している個別企業が掲載されているので、興味があればホームページにアクセスしてみるといいでしょう。

ポートフォリオには世界に名だたる米国の有名ブランド企業などバフェット銘柄の定番も含まれていますが、現在は銀行株や証券株が数多く入っています。なぜなら、2008年9月のリーマンショックで米国の銀行・証券株が大暴落したとき、果敢にも底値買いを行ったからです。

IT株にも投資するなど変化するバフェット流

バフェット氏は危機の最中、NYタイムズ紙に「Buy American. I am」(米国株を買おう、私は実行中)というコラムを掲載。まさに「暴落は買い」というバフェット氏の本領が発揮されたことで、銀行・証券株の底値買いで大きな含み益を得ることに成功したのです。ポートフォリオ2位には、時価総額世界No.1のIT企業も入っています。

バフェット氏は時価総額世界No.1のIT企業について「米国2位の収益性が高い企業のほぼ2倍も稼いでいる。信じられない」と、その収益力の高さや巨額な自社株買いなど株主還元の姿勢を評価しています。長期投資のスタンスをとることで有名なバフェット氏ですが、その投資スパンは「永遠」が理想といわれています。そう考えると、バフェット氏がこのIT企業ヘの投資で本当に成功したかどうかの結論を出すには、時期尚早といえるでしょう。

雪だるま式に資産を増やすバフェット氏の投資哲学は健在

一方、完全子会社化しているため、ポートフォリオには含まれませんが、バフェット氏は投資会社を通じて鉄道会社や電力会社も保有しています。鉄道や電力は人々の生活になくてはならない「有料ブリッジ」(人々が必ず渡らないといけない有料の橋)であり、インフラ設備から得られる安定した収益がバフェット氏の投資成績にも貢献しているのです。

また、バフェット氏が率いる投資会社は自動車保険会社や再保険会社を多数保有する、世界有数の保険会社という隠れた側面も持っています。実は、保険契約で得た余剰資金を株式投資に回すことで雪だるま式に資産を増やす仕組みこそが、バフェット氏やその投資会社の非常に高い投資収益の源泉になっているのです。

先ほども触れたように、「バフェット氏の株主への手紙」はインターネットで誰でも閲覧可能です。投資会社の年次報告書や株主への手紙を読めば、バフェット氏の投資哲学をよりリアルに、より深く学ぶことができるでしょう。

(提供:フィデリティ投信