政府は「貯蓄から資産形成へ」をスローガンに、NISA(少額投資非課税制度)などの非課税投資制度を充実させています。その投資対象としては、配当金が受け取れて非課税効果を効率よく活用できる高配当株に人気が集まっています。本稿では高配当株投資の魅力と注意点を検証してみましょう。

利回り4~5%超の優良株も多数

NISA,高配当株投資
(画像=StudioByTheSea_Shutterstock.com)

株に投資すると値上がり益のほかに、企業が上げる利益の一部を株主に還元する配当金があります。日々、激しく値動きする株価に比べ、配当金は企業の収益が安定しており、配当金を出していればもらえる“定期収入”といえる点が魅力です。

東証1部上場企業の平均配当利回りは2017年度の実績で1.86%、2018年度の会社予想で1.98%です(2018年8月21日時点)。配当利回りは「株主配当金÷株価」で計算するので、分母の株価が上昇気味の今は、利回りで見ると低下中です。しかし、東証1部上場の3月期決算企業の配当総額は、好調な業績や株主への利益還元強化もあり、初めて10兆円の大台を越えるなど過去最高を更新しています。

東証1部上場企業の中にも、今期の予想配当利回りが4%超の銘柄は8月21日時点の株価で計算して計52銘柄。利回り7%台のネット証券など、証券会社には高配当株が多く、5.47%の自動車会社、4.89%のタバコメーカー、4.58%の精密機器メーカーなど、超優良企業にも高配当株が数多くあります。

むろん、単純に配当利回りが高い会社だけでなく、連続増配を続けていたり、配当だけでなく自社株買いなどにも積極的であったりする企業なら、手厚い株主還元姿勢を好感した株価の上昇にも期待が持てるでしょう。

米国株は高配当株、連続増配株の宝庫

配当利回りの高さで日本以上に魅力的なのが、株主還元の意識が高い米国株です。NYダウ30種平均やS&P500の平均利回りはおよそ2%前後になっています。米国の高配当株といえば、S&P500採用銘柄で過去25年以上、連続増配を続けてきた優良大型株で構成された「S&P配当貴族指数」が有名です。

採用銘柄の中には、62期にわたって連続増配を続ける産業機器メーカーをはじめ、61期連続の有名な医療器具メーカー、59期連続の世界的な化学・電気素材メーカーなどが顔をそろえています。ただし、証券会社によっては現物の外国株はNISA口座の対象外であることがあるため、事前によく調べておきましょう。

税金面の注意点

海外の高配当株に投資するときに注意したいのは、海外でも配当金に課税されたうえに(米国株の場合は10%の源泉分離課税)、日本でも課税されてしまう「二重課税」です。外国で課税された分の税金を取り戻すには確定申告をして「外国税額控除」を受ける必要があります。しかし、NISAの場合、国内の配当金や分配金については非課税のため、二重課税とは見なされず、確定申告しても海外で課税された分は取り戻せないので注意しましょう。

投資信託を利用しリスク分散を

配当金というインカムゲインが毎年、振り込まれることになる高配当株投資は、年金以外に定期収入のないリタイア組には理想的な投資対象といえます。株価が安いときに買うと配当利回りを上げることができるので、株価が下落したときはある意味、チャンスといえるかもしれません。また、日本の株にせよ外国株にせよ、高配当株に投資する際は分散投資でリスクを軽減できる投資信託を利用するのも便利です。その際は、高配当株を集めたファンドが有望な投資対象となるでしょう。

(提供:フィデリティ投信