ビットコインなど仮想通貨は価格の乱高下が続き、ハッキングや相場操縦の疑いが出るなど、発展途上の段階にあります。どの国にも属さない自由な通貨として期待がかかっているのは事実ですが、仮想通貨がもっと普及するためには、いったい何が必要なのでしょうか?
キャッシュレス途上国・日本と仮想通貨
元祖・仮想通貨といえるビットコインの価格は2017年12月に1ビットコイン230万円超と1年間で約20倍の高値をつけたあと、日本の取引業者のハッキング被害などもあって暴落しました。政府は仮想通貨交換業者に対して、より厳格な検査・監督を行うようになっていますが、日本はいまだ世界の中でも仮想通貨に寛容な国と評価されているようです。
仮想通貨の規制が緩いといわれる背景には、相変わらず現金信仰が高く、クレジットカードやデビットカードといったキャッシュレス化が遅れている日本国内の現状が影響しているのかもしれません。経済産業省によると、日本のキャッシュレス化比率は2割程度で、9割近い韓国や6割の中国などと比べても突出して低くなっています。政府は2025年までにキャッシュレス比率4割達成を目指していますが、仮想通貨の普及もキャッシュレス社会実現に必要と考えているのかもしれません。
仮想通貨は決済手段として未発達
夢の通貨ともてはやされる仮想通貨ですが、その普及には価格の乱高下がネックになります。また、セキュリティ対策が万全ではなく、ハッキングされても、その取引自体を取り消すことができないなど、システム上の課題も多数、指摘されています。
実際、米国で商取引の決済に使われた仮想通貨の金額は昨年以降、4分の1のレベルまで減少しているという報道もあるほどです。人々が安心して仮想通貨を利用するための仕組み作りや環境整備がまだまだ圧倒的に不足しているといえるでしょう。
日本のポイント文化は仮想通貨と融合するか?
日本で仮想通貨に似たキャッシュレス感覚のものといえば、真っ先に「ポイント」が思い浮かびます。仮想通貨は、中央集権的な管理システムを持たず、オープンな環境で通貨の決済や交換のやりとりを記録する分散型台帳技術「ブロックチェーン」がある一方、ポイントは発行元が中央集権的にその発行や使用状況を管理している点に大きな違いがあります。違いこそあれど、仮想通貨がポイント感覚で使えるようになれば普及の原動力になるのは間違いないでしょう。
実際、書店発祥のポイント会社が提供するカードの会員総数が日本の総人口の50%を突破するなど、現金の代わりに使用可能な通貨の代替物としてすっかり定着しています。一方、大手コンビニエンスストアが発行する電子マネーでは、公共料金や税金の支払いに使えるお得な裏技が広がるなど、日本のポイント文化は百花繚乱の花盛りです。
仮想通貨にも、日本のポイント制度のように、コンビニなどで手軽に使えるような利便性や豊富な支払い・決済窓口の確保など、より利用者の目線に立った設計やサービスが必要なのかもしれません。そうした仕組みをブロックチェーンの技術を駆使して作ることができれば、爆発的な普及も夢ではないでしょう。
(提供:フィデリティ投信)