国税庁は6月、平成29年分の株価表を公表しました。これは、取引相場のない株式の評価の算定にて使用するもので、業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、簿価純資産価額及び株価が定められています。今年は取引相場のない株式の評価方法に改正があったことで、例年以上に株価表の値に関心が寄せられていました。
1.改正ポイント
平成29年度の取引相場のない株式の評価における改正のポイントは下記です。下記①②が株価表に関連します。
①類似業種の株価について、現行に「課税時期の属する月以前2年間平均」を追加
②類似業種の配当金額、利益金額及び純資産価額について、連結決算を反映させたものとする
③配当金額、利益金額及び純資産価額の比重について、1:1:1とする
④会社規模の判定基準の見直し
なお、この改正は、平成29年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用されます(改正の詳細については、当ニュースのバックナンバー「取引相場のない株式の評価について改正通達公表」をご覧ください)。
2.「2年間平均株価」追加の影響
公表された平成29年分の株価をみると、採用できる5つの株価のうち「前年平均株価」が一番低い株価となる業種目が大部分であるため、「2年間平均株価」が採用されるケースは少なく現時点での影響は少ないと考えられます。しかしながら、同時に、「その月以前3ヶ月間の株価>2年間平均株価」である業種が大部分でありますので、「2年間平均株価」が追加されたことでより低い株価を採用できるケースがありそうです。
3.連結決算反映の影響
連結決算を反映させたことを一因として、平成29年分の株価表においては、多くの業種目において類似業種の配当金額、利益金額及び純資産価額のいずれの値も前年と比べ増加しました。
また、連結決算が反映されたことにより、該当する会社が少数となる業種目については、他の業種と統合されました。その結果、昨年まで118あった業種目が平成29年分は113に減少しました。
(提供:チェスターNEWS)