アジアのビーチリゾートといえば、海のすばらしさ、治安のよさ、食や文化の多彩さなども手伝って、世界的にも有名な観光スポットになっています。タイのプーケット島やサムイ島、インドネシア・バリ島などがメジャースポットですが、その特徴は地中海やカリブ海、日本人に定番のハワイなどに比べて、はるかに庶民的で物価が安く、開かれたリゾート地であることです。

アジア諸国の観光客激増でリゾート地の閉鎖が相次ぐ

アジアの人気リゾート開発
(画像=Tetyana Dotsenko/Shutterstock.com)

ただし、最近は中国本土をはじめとしたアジア諸国からもバカンスを楽しむ観光客が大挙して訪れるようになったため、せっかくのパラダイスが汚染され、環境保全のためにリゾート地自体が閉鎖される事態が相次いでいます。

2018年4月下旬、フィリピンで人気のリゾート地・ボラカイ島が、ドゥテルテ大統領の大号令によって約6ヵ月間、閉鎖されることになりました。インドネシア・バリ島もビーチに打ち上げられるプラスチックゴミの多さが問題になっています。2000年にレオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』の舞台になったタイのピピ・レイ島の絶景スポット、マヤ湾も湾内のサンゴ礁保全のため、2018年9月まで閉鎖になりました。

未開拓ビーチがどんどん開発されるアジアのリゾート地

ただ、もともとは映画『ザ・ビーチ』のディカプリオのような欧米のバックパッカーたちによって開拓されていったこともあり、より素朴で、自然に溢れた未開のビーチパラダイスが今も次々と「発見」されています。

年間の外国人観光客が約3,400万人超の観光大国タイでは、中国やロシアからの観光客が急増しており、世界中の人々が西海岸のアンダマン海に面したプーケット島、クラビ、ピピ島、東側の南シナ海沖にあるサムイ島、パンガン島、タオ島などのビーチリゾートに押し寄せています。そんなタイでは、ミャンマーとの国境にも近いシミラン諸島などが、サンゴ礁もまだきれいな、未開拓の島として、欧米のダイバーたちからも注目されています。

マレーシアはタイ以上にビーチの環境保全が行き届いているのが魅力です。シンガポールからもほど近いティオマン島や東北部のレダン島では、コモドオオトカゲがビーチのそばを闊歩するような野趣あふれる環境がいまだに残っています。マレー半島から東に離れたボルネオ島は未開拓のビーチも多く、サバ州のシパダン島は世界的なダイビングスポットとして有名です。インドネシアでは、火山噴火の影響があるものの、バリ島の東隣にあるロンボク島やその周辺のギリ3島などが注目されています。

全土が島国のフィリピンのビーチリゾートが急成長中

最近、アジアの新たなビーチリゾートとして急成長中なのがフィリピンです。まだまだ発展途上な面はありますが、世界で4番目に長い海岸線を持つ島国だけあって、ビーチリソースが豊富です。

アメリカの旅行雑誌から「世界一美しい島」に選ばれたパラワン島や南部のミンダナオ島ダバオ州にあるサマル島など、手付かずのビーチリゾートが豊富にあります。

アジア諸国ではマレーシアのエアアジアを筆頭に安価なLCC路線が全土に張り巡らされ、アクセスが容易になったこともビーチ開発に拍車をかけています。未開のパラダイスを求めて新たなビーチが次々と貪欲に開発されていくのが、アジアンビーチ隆盛の原動力といえるでしょう。

※こちらの情報は2018年8月1日時点の情報です。2018年8月5日に発生したロンボク島地震の被害者の皆様に対し心よりご冥福をお祈り申し上げます。

(提供:フィデリティ投信