さまざまな金融市場に大きな影響力を持つ米国10年国債の金利は2018年4月後半、4年3ヵ月ぶりに3%の大台を突破しました。米国10年国債の金利は長期金利の代表的指標といわれますが、好調な米国経済や原油高などインフレ加速懸念を背景に、今後も上昇が続きそうです。果して、3%台に到達した金利水準を考えると「米国債は買い」といえるのでしょうか?

金利と債券価格、実質利回りの関係とは?

米国債
(画像=Twinsterphoto/Shutterstock.com)

その答えを探る前に、債券の価格と金利、利回りの関係を見ておきましょう。

例えば、発行当初の額面金額が100万円、表面利率2%の債券が発行されたとします。その後、世の中の金利が上昇して3%になると、金利2%の債券は利息収入の面で魅力がなくなるため、債券価格が下落します。

債券を買うとき表面利率に目を取られがちですが、「保有期間利回り」にも注目する必要があります。債券には「額面金額」と「表面利率」がありますが、債券の価格が変動すると、毎年もらえる利子だけでなく、額面金額と購入価格の差額も「償還損益」として収益に影響を与えます。

例えば、5年満期で表面利率が2%の債券が発行後値下がりし、残存4年の時点で95万円で購入できたとします。95万円で購入できた人からすれば、4年後に満期(債券の償還時期)を迎えた場合、1年あたりでもらえる収益は利子2万円だけではありません。債券の償還差益5万円も収益になるので、これを満期までの年数4年で割った1万2,500円を合わせた3万2,500円が年間の収益になります。投資元本は債券購入価格の95万円ですから、この債券を購入したことで得られる「保有期間利回り」は「3万2,500円÷95万円×100(%)」で約3.42%になります。

特に既発債を購入する際には、表面的な利率ではなく、この「保有期間利回り」も計算して投資するかしないかの判断を下すことが大切なのです。

非常に単純化すると、債券価格が安いときに債券を買うと、利息収入だけでなく、債券の償還差益でも儲かるので有利になります。債券価格が大底を打つのは、好景気がピークに達して金利水準が天井を打ったときです。

米国10年債のここ10数年の長期的な推移

米国10年国債の長期的な推移を見ると、米国の住宅バブルなどで世界的な好景気に沸いた2006年には一時、5%台まで上昇しています。その後、2008年9月に勃発したリーマンショック以降は、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の量的金融緩和政策もあり、一時1.5%を割り込む水準まで下落しています。

米国景気が絶好調だったリーマンショック前は4~5%台で高止まりしていたわけですから、その頃に比べると3%台はまだまだ高い水準とはいえません。しかし、米国10年国債の金利はここ10年、長期的に低下し続けており、3%台の金利ならすでに魅力的な水準に達していると考えることもできます。

今は米国債投資を始めるにはいい時期かも

金利というのは景気がよくなると、「好景気だからお金を借りてビジネスを広げたい」という人が増えるので上昇します。また、モノの価値が上昇すると、逆にお金の価値は下落するので、物価上昇に見合った高い金利を払わないとお金の貸し借りができなくなります。

景気や物価高と債券投資の関係はとても複雑ですが、単純に考えれば、

「景気が今後もよくなって物価が上昇し続けているとき、債券投資は時期尚早」
「景気や物価高がピークに達して、あとは下がるだけという状況なら債券投資に有利」
「景気がどんどん悪くなって物価が下がり続ける限り、債券投資は魅力的」

というのがオーソドックスな売買戦略になるでしょう。

景気循環でいうと、不景気から好景気に移るときは株式投資のほうが有利で、好景気から不景気に向かうときは債券投資が有利なことが多いのです。

リーマンショック以降、米国債の金利は長期下落傾向にあり、3%台に到達した金利水準は魅力的といえます。まだまだ金利上昇が続く可能性もありますが、4%、5%と一直線に急上昇していくようには見えません。そう考えると、米国債を主な投資先とするような債券ファンドに、長期的なスパンに立って積み立て投資を始めるにはいい時期、といえるかもしれません。

(提供:フィデリティ投信