2018年の株式市場は、日経平均株価が741円高と、26年ぶりの高値更新から始まりました。また、ちまたではバブル芸人やバブル時代のダンス音楽が再ブームになるなど、バブル時代がなにかと意識されるようになりました。

果たして、日本の個人投資家は流行りのバブル当時のように株で儲かっているのでしょうか。それを検証できる貴重なデータといえるのが、日本百貨店協会が毎月発表する全国百貨店売上高の概況です。

株価上昇と連動する高級商材の売上高

百貨店
(画像=Shutterstock)

株価が上がると、株を大量に保有している富裕層が株高で得た利益の一部を高額消費にまわすため、美術・宝飾・貴金属といった百貨店の高級商材の売上が伸びることはよく知られている経済効果です。

実際、アベノミクスが始まった2013年の美術・宝石・貴金属の売上は約3,191億円で、前年比約14.7%増(日経平均騰落率約56.7%)と、株価の本格的な上昇とともに大きな伸びを示したのです。一方、2016年は日経平均株価の騰落率が約0.4%とほぼ横ばいだったこともあり、高級商材の売上高は約−5.9%と久しぶりの落ち込みに転じました。

百貨店の高級商材の売上には 中国人観光客の爆買いなどインバウンド消費という新たな「変数」も登場していますが、株価が本格的な上昇局面に入ると急激に増え、株価の上昇が落ち着くと伸びが鈍る傾向があるのです。

そんな連動性を意識して、それ以降の高級商材における売上高に注目すると、2017年11月は全国でも7.4%増を記録。前月の2017年10月に日本株が大きく上昇したこともあり、じわじわと盛り上がったのです。

さらに美術・宝飾・貴金属販売が伸びるかが株高のカギに

アベノミクスがスタートした2013年には、相場が最高潮に達した4~6月にかけて高級商材売上高が急激に伸びました。そう考えると、百貨店の高級商材のさらなる売上増加や、ひいては株価上昇の伸びしろはまだまだあるといっても過言ではないでしょう。

株高によって株を大量に持つ富裕層が高額消費に走ることで、一般消費者の景気も活性化していく可能性が高まります。いわゆる「トリクルダウン理論」が効いてくれば、2018年の日本は、より一層、内需拡大から株高の好循環へと加速が見られそうです。

百貨店株が日経平均3万円台到達の先導役に!?

株高→高額消費の増加という流れを受けて、大丸、松坂屋を擁するJ.フロントリテイリングやインバウンド消費に湧くエイチ・ツー・オーリテイリング(阪急百貨店などを展開)といった百貨店株も2017年9月以降、いち早く上昇に転じました。百貨店株は、証券セクターなどとともに、投資家の多くが今後の株高継続を予想すると真っ先に買われる株高の先導役セクターとして知られています。

これまでの株式市場では、円安基調を背景に半導体や電子部品、産業ロボット、機械株など、外需株が相場のけん引役になってきました。しかし、経済のもう一方の車輪である内需が盛り上がらないことには、日経平均株価が3万円台に到達するようなバブル再来は遠いでしょう。

ネット通販の普及もあり売上減少が続く百貨店ですが、その販売動向をウォッチすることで、2018年の株式相場が見えることがあるといえます。

(提供:フィデリティ投信