信越化「雲抜け」、SUMCO好調
半導体関連株のリターンリバーサルが本格化しつつある。リード役の信越化学工業(4063)の株価はこの日、日経平均株価に大きく先行して日足一目均衡表の「雲抜け」を達成。前日決算を発表したSUMCO(3436)も大幅高に買われた。メモリー価格の下落を背景に高値からの調整が進んだ相場が、再び動きだした。
SUMCOの今12月期第3四半期累計業績は、連結営業利益が643億円(前年同期比2.2倍)に拡大した。主力の300ミリウエハーのほか、自動車や産業機械向け半導体の基板となる200ミリ以下の小口径ウエハーが好調だ。
ウエハー価格は、一時急激に拡大した記憶媒体のメモリーの需要一服で警戒感が出た。一方、演算処理を担うロジックの需給は引き締まっている。電装化が進む自動車や、本格普及機に入ったIoT(モノのインターネット)の分野でニーズが旺盛だ。同社の200ミリウエハーの生産設備はフル稼働状態が続いている。
SUMCOの株価は決算を受け、一時前日比8.5%高の1770円まで上昇した。300ミリウエハーについても、長期契約の下で来期以降の事業環境は明るい。ジェフリーズ証券は7日付リポートで、SUMCOのレーティング「Buy(買い)」を継続し、目標株価の3250円を据え置いた。
SUMCOと並ぶウエハー大手の信越化も、今3月期の連結営業利益予想を3600億円から3900億円(前期比16%増)に増額した。製品ではカスタムLSI(大規模集積回路)のローム(6963)、検査装置はアドバンテスト(6857)がそれぞれ収益見通しを引き上げている。
一方、半導体製造装置の主力企業で、メモリー分野に強い東京エレクトロン(8035)やSCREENホールディングス(=スクリン、7735)は、市況変調が重荷となって株価は大幅な調整を挟んだ。ただ、メモリー関連を除く事業は堅調そのもの。自動車やIoT市場が拡大する恩恵も大きく、ここへきて相場も底打ち感が強い。
小型株では、電源ICメーカーのトレックス・セミコンダクター(=トレックスS、6616)に勢いがある。同社の今3月期上期の連結営業利益は、4.5億円の期初計画に対し13.5億円まで膨らんだもよう。「ディスクリート」と呼ばれる単純な機能に特化した半導体が、自動車向けなどで伸びている。
今後も物色の広がりが予想される中、穴株としてはウエハー加工用ポリッシャーの岡本工作機械製作所(6125・(2))に注目したい。今年6月末の受注残高は296億円と前年同時期の4倍に急増。13日に上期決算を控える点はリスクファクターだが、中・長期的にはTSV(シリコン貫通電極)と呼ばれる次世代実装装置なども期待材料だ。
新興市場では半導体の選別装置などを手掛けるテセック(6337・JQ)をマークしたい。通期計画は再増額も期待され、株価は2月高値(2355円)を起点とする下降トレンドから上昇基調へ転じる可能性が高い。
このほか、半導体商社の丸文(7537)も10月末に今3月期の業績予想を引き上げた。ディスクリート製造機器でタカトリ(6338・(2))も狙い目だ。(11月5日株式新聞掲載記事)
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