「楽器と投資」。一見、まるで関係ないように思える2つですが、実は富裕層の間で一部の楽器が投資商品として人気を集めていることをご存じでしょうか。なかでも有名なのが、バイオリンでも名器と呼ばれる「ストラディバリウス」です。

今回は少し目線を変えて、注目を集めているコレクターズアイテム系の投資商品について紹介します。

バイオリン「ストラディバリウス」とその価値

ストラディバリウスの音色
(画像=Shutterstock)

2011年6月21日、日本音楽財団が所有するバイオリンのストラディバリウスの一つ「レディー・ブラント」が、約12億7,000万円というバイオリンとしては過去最高の金額で落札され話題となりました。日本音楽財団が、「レディー・ブラント」を購入したのは2008年のことです。2011年に落札された際には、過去に落札されたストラディバリウスの最高額の4倍以上の値段がついたというのですから、その高騰ぶりには驚かされます。

ストラディバリウスとは、イタリアの弦楽器製作者であったアントニオ・ストラディバリが17~18世紀にかけて制作した弦楽器の総称です。なかでもバイオリンが圧倒的に多く、現存するのは約600本になります。その姿と音色の美しさから名器中の名器と呼ばれ、世界中のバイオリンの名手に愛されています。

楽器が投資商品として魅力的なワケとは?

さて、そんな有名な楽器がなぜ投資商品として注目を浴びることになったのでしょうか。バイオリンは楽器ですから、演奏に使われてこそその価値を発揮します。しかし、数億円というとんでもない値段がつけられたバイオリンは、たとえ世界的に有名なバイオリニストといえども、めったに手に入れられるものではありません。

そのため、ストラディバリウスをはじめとする名器は、投資家や財団がその財力を使って購入し、著名なバイオリニストに貸し出すというスタイルが定着しています。そうすることでバイオリンは「世界的に有名なバイオリニスト○○が愛用した楽器」との肩書きがつき、楽器としての評価をさらに高めているのです。つまり、安定した利益を生む投資商品として価値を発揮していっているのです。

ほかにもある、コレクターズアイテム系投資商品のあれこれ

投資商品として人気なのは、バイオリンだけではありません。ピアノのトップブランドとして知られるスタインウェイも、安定して価値が上がり続ける投資商品として注目を集めています。その理由としては、「ピアノの素材として使用される木材のコストが、地球温暖化の影響で上がり続けていること」「ピアノは耐久年数が長く、その分、価値も下がりにくいこと」などがあげられます。

このほか、エコノミスト誌が発表した2002~2012年までのコレクターズアイテム系の投資リターンを見てみると、1位はビンテージカーで10年間になんと約540%も価値が上昇しました。ほかにもコイン、切手、ワイン、ギター、アートなどのアイテムが大きくその価値を上げており、投資商品としての魅力があることを示しています。

ほかにはない魅力を持つ、コレクターズアイテム系投資商品たち

このようなコレクターズアイテム系の実物資産の魅力は、株式のように価値がゼロになってしまう恐れがほとんどないことです。また、投資対象に実体があるので、それ自体を楽しめるという側面もあります。株式や債券とはまたひと味もふた味も違った投資の魅力が、コレクターズアイテム系にはあるといえそうです。

(提供:フィデリティ投信