ZUU 代表の冨田和成が『大富豪が実践しているお金の哲学』(クロスメディア・パブリッシング)を出版して約2年が過ぎた。この2年の間にも経済環境はめまぐるしく変化している。では「大富豪になるための哲学」に何か変化はあったのだろうか。「大富豪の考え方はわかったが、一般人はどう行動すればいいのか」という読者の意見に対する答えは。全7回の連載を通じて、より深掘りした「大富豪が実践しているお金の哲学」をお届けしたい。(聞き手・編集:平 行男/ライター)

大富豪が実践する「お金の哲学」
(画像=大富豪が実践する「お金の哲学」)

大富豪と一般人の視点の違いに驚きの反応

――2016年に初の著書となる『大富豪が実践しているお金の哲学』を出版されました。お金の使い方や増やし方、守り方など、さまざまな局面における「一般人」「小金持ち」「大富豪」の考え方や行動パターンの違いを指摘し、大富豪ならではの習慣や哲学について簡潔に解説した内容でした。出版当時の読者の反応や意見にはどんなものがありましたか?

冨田 「3つの区分で解説していることがわかりやすい」「大富豪の考え方が端的に説明されている」といった好意的な意見をいただくことができました。また本書の後半では、銀行、保険、相続税など、大富豪が実際に活用しているノウハウについて触れている部分もあります。この後半部分が役に立ったと言っていただく方もいました。

――「食事」「スーツ」など、日常の一つ一つの事柄についても、一般人と大富豪ではこんなにも考え方が違うものかと驚いた読者も多かったのではないでしょうか。

そうですね。確かに大富豪の人は視点が違うことをまとめながら更に強く認識しました。たとえばここにあるペットボトルでも、真横から見ればペットボトルの形をしていますが、真上から見た時は円形です。それと同じような話で、一つの物事を別の角度から見れば、違ったものに見えるということです。

例を挙げてみましょう。たとえばスタートアップの会社があって、投資家からお金を出してもらい、事業を伸ばしていこうとしています。しかし足下では30億円の赤字を出してしまいました。この状況を見てある人は、「ひどいな、30億円の赤字だなんて。投資家の金をなんだと思っているんだ。もう黒字になることは難しいだろうな」とネガティブに見ます。でも一方で「30億円の赤字だなんて度胸あるな! この会社のポテンシャルはすごい」と評価する人もいる。真逆の視点があるんです。

また、離職率が非常に高い会社があったとして、ある人はその会社に対して「毎月何人もの社員が辞めていくなんて、社員満足度がよほど低いブラック企業なんだろう」という感想を抱くでしょう。でも全く逆の視点で、「やはり成長が早い会社は、定期的に一定数の社員が入れ替わり、組織が活性化されていく仕組みを作っているんだな」と見る人もいます。

たとえば人材輩出企業として知られるリクルートなどは、平均年齢が35.1歳、平均勤続年数は5.8年です(リクルート・ホールディングス2018年度有価証券報告書より)。そして以前は38歳での定年制があっと聞きます。だから「キープヤング」の組織を保つことができるわけです。

リクルートの離職率が高いことは間違いないわけですが、だからといって社員満足度が低いことはないでしょう。むしろ、若いうちにいろいろなことを経験させてくれる会社として、充実感を持って働いている人も多いのではないでしょうか。

このように、一つの物事をある角度から見るとマイナスでも、ある角度から見たらプラスになることは多々あるということ。そして大富豪は、一般人の人とは違った視点で物事を見ていることが多いといえます。

――そもそも冨田さんが大富豪の視点の違いを理解しているのは、大富豪とお付き合いをしてきた経験があったからですね。

野村證券に務めていた時に、富裕層向けのプライベートバンク部門で世界の大富豪と仕事をさせていただきました。お客様の大事な資産を預かるわけですから、自然と親密なお付き合いになり、彼らの考え方もわかるようになりました。