大富豪が実践する「お金の哲学」の特集第6回は、大富豪のお金の守り方について。日本において「増やすより減らすほうが利回りは高い」理由とは? (聞き手・編集:平 行男/ライター)
不動産は圧倒的に最強の相続税対策
――大富豪のお金の守り方についてお聞きします。『大富豪が実践しているお金の哲学』のなかでは、「長期収入源」として、また「相続税対策」としての不動産活用を紹介しています。ただ、最近になって不動産投資にはいろいろと問題が噴出していますよね。今でも不動産は有効な資産形成の手段になるとお考えでしょうか?
最近起きている不動産投資の問題というのは、融資に絡む不動産会社や金融機関の不正の問題です。「悪いことしていたら問題になった」という、考えてみればごく当たり前の話ですから。それらの問題と、不動産が資産形成の手段として適しているかどうかは全く関係のない話です。不動産は相変わらず、長期収入源として、あるいは相続税対策として有効な手段です。
有効というよりも、相続税対策を考えた時、日本において不動産は圧倒的に最強の商品です。税金のルールが不動産に対して有利になっているからです。国が「不動産で相続税対策しなよ」とお薦めしているのに等しいくらい、あからさまに優遇されています。
たとえば10億円を現金でそのまま相続したら、10億円に対して相続税が計算されてしまいます。しかしその10億円で不動産を買っておけば、路線価の割合にもよりますが、相続税評価額は6〜8掛けの6〜8億円程度になります。それが貸している土地ならばもっと評価は下がりますし、建物の減価償却分や、貸宅地や貸家建付地といった条件なども含めれば、簡単に半分の5億円程度になります。
10億円の相続税評価額が、不動産に替えることによって簡単に5億円になるんです。10億円に対する相続税率は55%、5億円に対する相続税率は50%ですから、不動産にするだけでざっくりと2.5億円ほどの相続税の節約ができる計算です。
10億円ではちょっと現実的ではないので1億円で考えてみますが、それでも効果は同様です。資産1億円で、同額の不動産を買ったとします。相続の際、小規模宅地等の特例を使うと、不動産の評価額がなんと8割減の2000万円になります。
それくらい日本の相続税は不動産偏重になっている。不動産を買えといわんばかりの税制ですよね。税金のことを考えれば考えるほど、不動産は欠かせないピースとなってきます。これからも不動産は、大富豪の相続税対策として活用され続けるでしょう。