お小遣いという慣習は、日本だけでなく世界各国で見られる文化です。しかし、国が違えばお小遣いに対する考え方も変わります。今回は日本、米国、英国のお小遣い事情を知って、そこから子どもの金融教育についても考えてみましょう。

まずは日本のお小遣い事情からチェック

海外お小遣い事情
(画像=Shutterstock)

2015年の金融広報中央委員会の調査によれば、小学生の約8割、中高生の約9割がお小遣いをもらっており、月あたりの中央値は小学生低学年で400円、中学生で2,000円、高校生では5,000円という結果でした。

使い道は、おもちゃや本・雑誌、お菓子、友達との交際費などが多く、文具やクラブ活動の道具などの必需品は主に親が出す傾向にあります。また、日本におけるお小遣いは「大人になったときに上手にお金と付き合うための練習」という意味合いが強いようです。欲しいものを手に入れるために計画的に貯蓄するなど、限られた金額の中でやりくりすることを中心に学習していきます。

早くから金融教育に熱心な米国

米国ではお小遣い制度が日本以上に浸透しており、お小遣いをもらっていない子どもはわずか1%。過半数が8歳からお小遣いをもらいはじめ、その金額は月平均65ドル(約7,200円)と日本に比べて高額です。

しかし、金額が高いからといって「米国の子どもは日本の子どもより甘やかされている」とは一概に言えません。というのも、米国の子どもは文具や洋服などの必需品も自分で用意することを求められるからです。日本以上にお金の管理スキルが試されるのが、米国流といえるでしょう。

米国ではお小遣いは労働の対価として受け取るべきという考えが根底にあり、ほとんどの親が家事手伝いの報酬として子どもにお小遣いを渡します。また小さいころから物やサービスを提供して対価を得ることが比較的推奨されており、街頭でレモネードを売ったり、近所の家の犬の散歩や芝刈りを手伝って賃金を得る小学生も珍しくありません。

お金に対する教育も盛んで、小学生のころから経済の仕組みや株式投資などの金融教育を実践的な授業を通して学びます。こうして、米国の子どもたちは小さなころからお金の英才教育を受けて成長していきます。

「ノージョブ、ノーマネー」が基本の英国

英国でお小遣いを渡している親は、77%と日本や米国に比べると少し少なめです。週1回の単位で渡すケースが多く、週あたりの平均は6.15ユーロ(約835円)。家事手伝いなどの労働をする対価としてお小遣いをもらう「ノージョブ、ノーマネー」の考え方が基盤にあり、部屋の掃除、ベッドメイキング、洗濯などを行ってお小遣いを得ます。使い道は日本の子どもと大きな差はなく、お菓子やおもちゃがメインです。

昨今では現金よりカードやネットで決済されるキャッシュレス・スタイルが主流なことを受け、お小遣いも現金派からオンラインで決済できるお小遣いアプリ派へとシフトしつつあります。そのため、従来のように現金を渡して管理させる親は少なくなってきています。

子どもとお小遣いの役割について今一度、話してみよう

「小学生になったし、周りもあげているから……」という理由でお小遣いをはじめる親も多いことでしょう。しかし、お小遣いをあげるにあたり、子どもにお金の価値と使い方をきちんと伝えることは重要です。単にお小遣いを渡すのではなく、渡すにあたってお金に対する考えを伝える時間を作り、子どもとお金について話し合う機会を設けてみてはいかがでしょうか。

(提供:フィデリティ投信