投資信託には、主に2つの運用種類があります。それが、「アクティブ型」と「パッシブ型」といわれる種類です。これら2つには、リターンの狙い方や運用時に発生するコストなどに違いがあり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。両方を把握した上で、自分の運用目標に合わせて選ぶのがおすすめです。自分にふさわしい運用を行うためにも、アクティブ型とパッシブ型について知っておきましょう。

そもそも知りたい「アクティブ型」と「パッシブ型」の違い

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(画像=Natalia Rezanova/Shutterstock.com)

投資信託の「アクティブ型」とは、ある一定のベンチマーク(日経平均株価やTOPIXなどの指数)を基にして、そのベンチマークよりも運用成績が上回ることを目標に運用を行うものです。たとえば、運用会社が投資対象の値動きや将来性などについて調査・分析を行い、ベンチマークと違いを出すかたちで運用します。アクティブ型には、主に以下のような2つのタイプがあります。

1. グロース投資

投資対象について、将来的に成長が見込めるものに対して投資を行う方法です。見込みどおりになった場合、大きなリターンを得ることができます。

2. バリュー投資

投資対象について現時点での取引価格と資産やキャッシュ・フローなどから判断した価値とを鑑みて、より割安と見られるものに投資する方法です。

一方、「パッシブ型」とは、ベンチマークにおける値動きと連動させるように運用を行う方法です。この方法では、ベンチマークと同一の動きを目指して機械的に運用を行います。パッシブ型の主な運用方法としてあげられるのが、「インデックス型」と呼ばれるものです。インデックス型の運用方法にも2つのタイプが存在します。

1. 完全法

指針とするベンチマークとなるインデックス(指数)を構成するすべての銘柄を、時価構成比率に合わせて購入する方法です。

2. サンプル法

インデックスを構成する銘柄の中で、よりベンチマークに近づけられる銘柄を抽出して購入する方法です。

投資信託市場においては現在、パッシブ型へのトレンドが見受けられます。それを示すものとして、金融庁が2017年8月に発表したデータがあります。これによると、誰でも購入することのできる投資信託である公募投信の中の「つみたてNISA」対象となりうる本数は、インデックス型のほうが多い傾向となっています。

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「つみたてNISA対象と考えられる公募投信の内訳」(金融庁2017年)(画像=クラブ・フィデリティ)

運営管理機関連絡協議会が個人型確定拠出年金(通称:iDeCo/イデコ)について発表した2017年3月のデータでも、おおむねパッシブ型の比率が高くなっています。

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「投資信託等の選択状況 パッシブ・アクティブ比率」(運営管理機関連絡協議会2017年)(画像=クラブ・フィデリティ)

このようなデータに加え、パッシブ型は一般的に、より堅実で運用しやすいといわれることから、人気が集まっているようです。しかし、投資信託を選ぶ際には、単にパッシブ型に人気が集まっているからという理由ではなく、自分がどのように投資を行いたいかによって選ぶべきものが変わってくるはずです。

次にアクティブ型、パッシブ型のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

アクティブ型のメリット・デメリット

<メリット>

  • ベンチマークのインデックスを上回る運用を目標に行うため、マーケットが上昇した際にそれ以上の大きなリターンが期待できる
  • 将来的な成長を予想した銘柄への投資でその見込みどおりになった場合に利益が大きくなる
  • 運用会社のファンドマネージャーによって運用されるため、万が一ベンチマークが大きく下落した場合にも下落幅を抑えるようにしてくれる可能性がある(つまりベンチマークを上回ることや、ベンチマーク程大きくは下げないということ)

<デメリット>

  • ファンドマネージャーが銘柄に対する調査や分析などを行うため、運用時にかかる費用がやや高くなりやすい
  • ファンドマネージャーの運用方針によっては、リスクが高くなる可能性がある
  • 運用成績がマイナスだったとしても、インデックスよりも成績が上回っていれば高評価となってしまう

パッシブ型のメリット・デメリット

<メリット>

  • ベンチマークのインデックスに連動させて運用を行うため、運用時にかかる費用が低めに設定されている
  • 値動きがわかりやすいことから、リターンやリスクについて把握しやすい

<デメリット>

  • 市場価格全体が下落傾向にあると同じように下落してしまうリスクがある
  • インデックスに連動するため、そのリスク回避のための策を講じられない

自分の目標に合わせて方法を選ぶことが大切

前述したように、アクティブ型とパッシブ型では運用の種類が違います。どちらが良く、どちらが悪いわけではなく、選ぶ基準は自分の投資における目標に合わせることが大切です。たとえば、大きなリターンを期待するならアクティブ型を、手間やコストを抑えたいならパッシブ型を選ぶなどです。いずれにしても、自分の運用方針を決めた上で選んでいくといいでしょう。

(提供:フィデリティ投信