事業環境良好、政府後押し

株式新聞,航空・宇宙産業
(画像=PIXTA)

航空産業に熱視線が注がれている。米ボーイングや欧州のエアバスが旅客機需要の堅調な伸びを見込む一方、大気圏の外側でも市場が広がりそうだ。米国を中心に宇宙旅行の商用化が実現しつつある。日本でも近く航空・宇宙分野の大型見本市が行われ、関連銘柄の物色機運が高まりそうだ。

7~9月はボーイングの売上高が前年同期比で4%伸び、1株当たりの利益は同36%増に急拡大した。エアバスの業績も好調に推移し、良好な事業環境が示された。アジアのLCC(格安航空会社)向けをはじめとする航空機需要の高まりを受け、ボーイングは世界の航空機総数が2037年に現在の2倍の4.9万機に膨らむと予想している。

一方、新たなビジネスとして注目を集めているのが宇宙開発だ。米ロケットベンチャーのスペースXは、民間初の月周回旅行を23年に実施する。日本でもANAホールディングス(9202)や丸紅(8002)などが、宇宙船の発着基地開設を目指す組織を発足させた。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が構想するのは、日本初の有人月面着陸機の運用。21年度にH2Aロケットで小型実証機を打ち上げ、欧州とも連携して30年ごろには人間を乗せた機体を月に着陸させる計画だ。政府もベンチャーを育成するべく、今後5年で宇宙ビジネスに対して1000億円規模の資金を投入する。

航空産業の商機が広がる中、28日から国内外の関連企業が集まる「国際航空宇宙展」が都内で開催される。520社の出展(10月末時点)が予定され、エアバスが最新鋭旅客機「A350」の客室の実物大模型などを出展するほか、IHI(7013)はロケットや航空用のエンジンを展示する。

注目銘柄の一つが検査装置大手のパルステック工業(6894・(2))だ。同社が手掛けるのは、持ち運び型のX線残留応力測定装置。外圧の掛かった物体に残るひずみを高精度に検査する機器で、自動車や鉄鋼向けに売上が拡大している。航空産業でも伸び代は大きいとみて、浸透を図る構えだ。

パルステックの株価は直近発表した今3月期上期の決算(連結営業利益1.6億円、前年同期比2.1倍)を受け2075円まで上昇。8月末の高値を奪回した。相場は昨年7月の2700円を目指す新局面に入りそうだ。

宇宙関連では、シンフォニアテクノロジー(6507)がロケットの姿勢制御用サーボアクチュエータや、航空機用電源を披露する。JAXAが20年度に打ち上げる次期主力ロケット「H3」への搭載が予想される。「こうのとり」2号機やイプシロンロケットにも同社製品が採用されるなど、実績は十分。株価は下降トレンドからの転換が視野に入る。

一方、夢の技術も育ちつつある。その一つが「空飛ぶ車」だ。ドローン(小型無人飛行機)を応用したもので、渋滞解消へ向けた新たな都市交通として政府がこのほど実用化への計画案を公表した。来年からは試験飛行も許可する方針。今回の国際航空宇宙展で予定されるシンポジウムへの登録が早々に満席となり、主催者は急きょ大きな会場を確保したという。関連銘柄としては双葉電子工業(6986)や理経(8226・(2))をマークしたい。(11月20日株式新聞掲載記事)

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