日本ではまだそれほどなじみがないかもしれないが、欧米など海外ではビジネスパーソンが自分の昇給を勝ち取るために会社と交渉することは珍しくない。そこで海外メディアなどの情報から、交渉で成功するための8つのポイントを紹介しよう。

(1)交渉の勝算があるかを見極める

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(画像=Ronnachai Palas/Shutterstock.com)

交渉の成功で重要なカギを握るのは、評価に値する功績があるかどうかだ。「入社して数ヵ月しか経っていない」「積極的に貢献していない」という状況で交渉を試みても、失敗するどころか悪印象を与えかねない。まずは「自分が昇給に値する働きをしているか」を客観的に判断すべきだ。

(2)自分の価値を金額で表す

「少しでも給与を上げてもらいたい」といった漠然とした希望を持って交渉に臨んでも、満足できる結果は手に入らない。交渉前に給与比較サイトや求人サイトなどで自分と同じ職種(勤続年数や経験なども考慮する)の給与の相場を知り、交渉の場では「○○円」と具体的な金額を提示しよう。

(3) 最高希望金額を最初に切りだす

最終的な金額は、交渉する側と受ける側の希望の間をとる場合が多い。それを踏まえ、提示する金額は高めに設定する。ここで重要なのは、「相手より先に金額を提示する」こと。コロンビア・ビジネススクールのアダム・ガリンスキー教授の研究から、最初に高額な金額を提示した交渉人の希望が通りやすいことが分かっている。ただし「自分の価値と金額が釣り合っていること」「交渉を優位に進めるための下準備が整っていること」が条件だ。

(4)交渉に最適な時期を選ぶ

昇級交渉に最適なタイミングは、会社が予算を組みやすい決算後や自分の功績をアピールしやすいプロジェクト終了後だ。パフォーマンス評価を交渉のきっかけに利用する人もいるが、評価を受けた時点で既に昇給の決定がなされている場合が多いので、タイミング的には若干遅い。評価を受ける数ヵ月前に交渉を開始するのがベストだろう。また「交渉は精神的にリラックスしやすい木曜日がベスト」という、米心理学雑誌の調査結果も報告されている。

(5)アピールすべき点をリストにする

「なぜ自分が昇給に値するのか」をリストして視覚化する。頭の中のシミュレーションではすらすらと交渉できたのに、いざ本番になるとしどろもどろになってしまった--という事態を避けるために、アピールすべき点を簡潔かつ明確に頭に叩きこんでおこう。実際に声に出して、繰り返し練習することも大切だ。

(6)精神的・肉体的モチベーションを上げる

ハーバード・ビジネススクールの心理学教授が一大イベント前のモチベーションアップ法として提案する、「パワーポーズ」を試してみるのも良いだろう。これは腰に手をあてて背筋をぴんと伸ばし、顎を上げ、胸を張り、足を地面にしっかりつけて立つというもの。そうすることでテストステロンが生成されて自信が高まり、ストレスホルモンのコルチゾールが減少するそうだ。またコーヒーなどに含まれるカフェインには、断固とした態度を持続させる効果があるというので、交渉前にエスプレッソを一杯飲むというのも一案だ。

(7) 過去の実績よりも今後の実績に交渉の焦点を当てる

昇給交渉を行う上で過去の実績をアピールすることは大切だが、それだけでは不十分だ。「昇給に応じてもらえた場合、〇〇のようなさらに素晴らしい貢献ができる」といった将来性をアピールすることで、「この昇給はスマートな先行投資」という印象を会社に与えよう。

(8)メール交渉で自分のペースを守る

上司と対面すると緊張して交渉が上手くいかない人も多い。「自分より権力を持つ相手のペースに飲まれてしまう」という心理作用である。自信がない人は自分のペースを守るために、メールを利用すると良いだろう。ただしメールは会話が一方通行になる傾向があるため、自分の希望をしっかりと伝えると同時に主張が強くなり過ぎないよう注意する必要がある。

文・アレン・琴子(英国在住のフリーライター)/MONEY TIMES

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