「貯蓄から資産形成へ」というスローガンのもと、政府は、投資することで節税にもなる非課税制度を積極的に打ち出しています。それが個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)や少額投資非課税制度のNISAやつみたてNISAです。投資と節税の関係は今、どうなっているのでしょうか?
iDeCo(イデコ)の掛け金は全額所得控除
iDeCoは自分で掛け金を拠出し、自ら運用方法を選んで長期運用を続け、60歳以降に掛け金とその運用益の合計額をもとに年金の給付を受ける確定拠出年金です。
2017年1月からは、企業年金のある会社員や共済年金のある公務員、専業主婦まで利用者枠が広がったことで、それまで約30万人だった加入者は約1年8ヵ月で100万人まで増えました。
iDeCoの魅力は、運用で得られた収益に通常かかる約20%の税金が非課税になること、さらに60歳以降、拠出した資金を受け取るときにも退職所得控除や公的年金控除など、税金面で手厚い優遇を受けられる点にあります。
中でも最も大きいのが月々拠出した金額が課税所得から差し引かれ、その分、所得税や住民税が非課税になる効果です。
現在の所得税の最低税率は5%(課税所得195万円の以下の場合)、住民税は10%なので、所得があると、所得税と住民税合わせて最低でも15%分の税金を支払う必要があります。iDeCoに加入して掛け金を拠出し続ければ、本来は税金として徴収されるはずだった15%分の資金も運用に回せるわけです。
年収1000万円なら年間9万年の節税効果も
所得税の税率は所得額に応じて最低5%、最大45%の累進課税で決まります。年収500万円なら給与所得控除が154万円、基礎控除だけなら38万円となり、課税所得は308万円、所得税率は10%となります。例えば企業年金のない会社員(年収500万円)がiDeCoの上限となる月額2万3000万円(年間27万6000円)を拠出した場合、住民税10%と合わせて約20%、すなわち5万5200円の節税効果を得ることができます。
年収1000万円になると所得税率は23%に跳ね上がるので、住民税10%分と合わせたiDeCoの節税効果も“年間9万1080円に達します。また、年収500万円でも毎月6万8000円(年間81万6000円)まで拠出できる自営業者の場合、年間の節税額は16万3200円と非常に高額になります。
節税効果も見逃せないiDeCo、NISAや つみたてNISA の主な投資対象は投資信託
iDeCoやNISA、つみたてNISAを使えば、投資で得られた収益にかかる約20%の税金が非課税になる効果も見逃せません。
例えば、つみたてNISAの上限となる年間40万円を最長20年間積み立てた場合、運用利回りが年3%なら800万円の積み立て元本に対する運用益は約292万円となり、課税された場合に比べると、約59万円もの節税効果があります。利回り1%の安定運用でも、節税額は約17万円に達します。
2つの制度に共通するのは、主な投資対象が投資信託であること。つみたてNISA、iDeCoとも長期運用に適した投資信託の品ぞろえが豊富で、日本だけでなく世界中の金融商品に投資可能です。
運用で得た収益を運用のプロが再投資に回してくれることで複利効果にも期待できる点が投資信託の魅力。特にiDeCoによる節税との相乗効果は抜群と言えます。
このように節税という観点から見ても、投資で得られる収益が非課税になる点から見ても、iDeCoやつみたてNISAは資産形成の運用パフォーマンスを格段に向上させます。投資を始めるなら必ず使いたい制度といっても過言ではないでしょう。
(提供:フィデリティ投信)