「貯蓄から資産形成へ」、「貯蓄から投資へ」という言葉をよく目にするようになりました。その理由は、日本人の資産の半分以上が現金や預金に滞留し、株や投資信託に回る比率が米国などに比べて少ないために、資産の増加率が低水準にとどまっているからです。とはいえ、「貯金はやめて、投資すべき」と頭ごなしに言われても、なかなか投資を始めるきっかけにはなりません。では、「貯蓄ではなく投資することで変わるのは、あなたの考え方や人生、そして、それを取り巻く社会」としたらどうでしょうか?

投資することで「好奇心」や「探求心」を養える

投資
(画像=yuttana Contributor Studio_Shutterstock.com)

単純に銀行に預金するだけでなく、資産の一部をほんの少しでも株や投資信託などに投資すると、当然、株価や投資信託の基準価額が上がったり下がったりすることが気になるようになります。好景気が続けば企業収益の向上が見込めるので、株価や株式を投資対象にした投資信託の基準価額も上昇します。

つまり、投資を始めることで、「今、世の中は好景気かどうか」、「業績がよさそうな企業はどれか」といった新たな視点で、自分の周りを見渡す習慣がつくようになるのです。

株式に限らず、投資で成功するには、好奇心や探求心を持って自分の身の回りの変化を見渡すことが重要です。外貨建て投資信託に投資した場合、日本だけでなく世界の経済動向や為替水準に関しても自然と関心が向くようになります。

投資情報は仕事に役立ちプライベートでの話題にもなる

例えば、日本人がノーベル賞を受賞すれば、その技術を応用して商品開発につなげている企業の株が上がるかもしれません。人手不足が続けば、企業などに人材派遣を行う会社の業績がよくなるでしょう。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、投資には「世の中の先の先」を見通す力を鍛える面もあるのです。

世の中の流行に敏感になるのも投資がもたらす効用と言えます。「今はこの業界の業績がいい」「あの会社のビジネススタイルが若年層に受けている」「この会社が画期的な新製品を発売した」という情報は必ずや仕事をするうえでも役立つでしょう。

大ヒットしている人気商品やIT企業の画期的なサービスなど、さまざまな投資情報を日々、観察していれば、プライベートでの会話の話題もきっと豊富になるはずです。

ESG投資が社会を変える

最近は私たちが納めている年金保険料を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も株式保有比率を高めています。こうした公的な年金ファンドの多くは、単に利益を上げるだけでなく、地球環境や社会をよりよくする企業を選んで投資する姿勢を鮮明に打ち出しています。

環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に注目した投資スタイルは「ESG投資」と呼ばれ、いまや、企業の経営方針に対して大きな力を持つまでになっています。

投資信託の中には「ESG投資」に特化したものもあります。その運用報告書を見れば、自分が投資することで社会に貢献することができるかもしれない、という発想を得ることができるでしょう。

単なる資産形成だけでなく、世の中の流行や経済の循環、よりよい社会の実現にも知らず知らずのうちに関心を持てるようになるのが投資の効用です。「投資って難しい、分からない」ではなく、「投資って楽しい、おもしろい、人生や社会にも役立つ!」という発想が広がれば、自然と日本の家計資産に占める株や投資信託の割合も増え、よりよい社会づくりに役立っていくことでしょう。

(提供:フィデリティ投信