(本記事は、酒井威津善氏の著書『儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート』自由国民社、2018年11月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

儲けるための準備体操

儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート
(画像=PIXTA)

●発想できる体質づくり

私たちは、いわゆる「常識」に縛られています。

もちろん、常識がダメってことではありません。

よく言われるように、ある程度は決まったことがないと、生きていくのに、イチイチ面倒だからです。(朝の通勤など、乗る時間や家を出る時間など毎日決める人は少ないでしょう)

しかし、儲かるビジネスは、常識にとらわれていては生まれません。

例えば、毎日会社に行って仕事をする、という常識。

その一方で、「シェアオフィス」や「自宅勤務」などもどんどんはやり出しています。

仕事=通勤という「常識」の枠で考えていては、それ以上のものは生まれません。

まずは、この常識を覆す感覚を養うところからいきましょう。

常識を覆すポイントを3つご紹介しましょう。

ぜひ、気軽にクイズ感覚でやってみてください。

1.できそうもないことを考えてみる

最初は、「できそうもないことを考える」です。

私たちはついつい、「できそうなこと」を考えがちです。

「できそうもないことを考えてどうするんだ!時間のムダだろう?」

もちろん、普段はその通りです。

日頃仕事をするときは、できそうもないことをやっても意味はありません。勝手なことをやって失敗したら大変ですから。

しかし、今ここは、想像の世界です。

気軽な気持ちでやってみてください。

できそうにないこと。

例えば、「日本1周を1日で行なう」普通に考えたら、できませんよね。

1日だと四国すら無理でしょう。

でも、そこをあえて「できないか?」と考えてみるのです。

2.逆の立場で考えてみる

常識に続いて、私たちがつい、陥りがちなこと。

それが、「主観的なモノの見方」です。

主観的とは、文字通り、自分の立場でモノ・コトを解釈すること、です。

これがダメということではありません。

むしろ、自分のこととして考えてみる、というのは、普段の仕事では非常に大切です。

しかし、今ここではあえて、主観的ではなく、「客観的」に考えてみてほしいのです。

つまり、「逆の立場」です。

よく聞く言葉ですよね。「逆の立場に立って考えろ!」

とはいえ、相当意識しないと、なかなかできないことです。

どうやって「客観的」になればいいのか。

もっとも身近でかつ、1円もお金がかからない方法があります。

テレビの「刑事ドラマ」です。

刑事ドラマは、刑事と犯人、そしてそれぞれの関係者が登場します。

普通に見ると、誰が犯人なのかなど、事件の展開だけを追いがちですが、ちょっと見方を変えて、「主人公の部下」「主人公の家族」「犯人」「犯人の家族や関係者」などに意識を向けてみてください。

自分がその立場だったらと。

例えば、「犯人の家族の視点」でその事件を考えてみるのです。

加害者家族には、残念ながら社会的制裁が待っています。

犯人本人ではないのに、ただ家族だということだけでさまざまな負担があります。

主人公の側からでは見えてこない、事件のもう1つの顔が見えてきます。

これこそが、「客観的」な見方なのです。

3.やったことがないことをやってみる

オススメは次の2つ。

1)読んだことのないカテゴリーの本を読む

日頃、どんな種類の本を読まれますか?

この本を手に取っていただいているということは、もっぱらビジネス系でしょうか?

たまには「文学」や「歴史」の本などはいかがでしょう?

「忙しいのにどうしてそんな本を読まなければいけないんだ?!」

おっしゃるとおり、残念ながらこうした系列の本はビジネス系、例えば営業ノウハウや会計知識などと違い、直接に役に立つわけではありません。

しかし、目的はそこではありません。

内容ではなく、「頭を揺さぶる」ために読むのです。

先に申し上げておきますが、日頃読まない本を読むとかなり「脳が拒否反応」を示します。下手をすると数ページでイヤになるかもしれません。

でも、それでOK です。

読みたくないものを無理して進めるのは時間のムダです。

それよりも、同じテーマで、より読みやすいものを選びましょう。

最近は古典名著の漫画版がたくさん出ています。

値段も結構安いですし、内容を短時間で理解するのにはうってつけです。

2)行ったことがないところへいく

休日、どこかへ出かけようとして、結局どこへも行かなかったことってありませんか?

どうせ出かけるなら、と思っていろいろ調べてみる。

そのうち時間だけが経ってしまう。

計画的に出かけるのも悪くないのですが、それは年に数回の旅行のときにしましょう。

日頃は、とにかく「行ったことのない場所」を選んでみてください。

とはいえ、それを見つけるのが面倒、ですよね。

なので、オススメの方法は、「通勤・移動途中の駅」で降りてみる、です。または、出張や客先に出かけた際、少し余裕を持って到着し、周辺を回ってみるのです。

この2つはいずれも「余計なお金」がかかりません。

通勤途中であれば、定期がありますし、出張なら交通費も気にする必要はありません。

さきほどの本と同様に、脳は「見たこともない場所」に刺激を受けます。歩いたことのない街を歩いてみる。どんな店があるのか、どんな雰囲気なのか。何か見つけようとかは考えず、ただぶらりと歩いてみるのです。

まとめ

新しい儲けのしくみを発想するために、ぜひ日頃お手隙の際にでも、取り組んでみていただきたいこと、3つをご紹介しました。

・できそうもないことを考えてみる→想像力を鍛える
・逆の立場で考えてみる→さまざまな立場で物事を見る
・やったことがないことをやってみる(脳への刺激を増やす)→ 読んだことのないカテゴリーの本を読む、行ったことがない場所へいく

あまり力を入れず、気が向いたときで十分です。

ぜひ、やってみてください。

思わぬ大成功のきっかけにつながるかもしれません。

ネタは日頃からストックしておく

●成功する漫才師に見習う

お笑い番組はご覧になりますか?

テレビ局の台所事情もあって、最近はとくにお笑い番組が増えました。

一見すると気楽な印象を受けますが、お笑いの世界はビジネスと同様、とても厳しいものです。

例えば、毎年漫才の頂点を決める「M-1グランプリ」。

毎回4000組近くが応募し、テレビでの放映がある決勝に残れるのはたった9組。単純計算で、0.22%の確率。

つまり、99.78%は決勝に進むことすらできない=テレビに映ることはないという、それは厳しい賞レースです。

もちろん、頑張って勝ち残り、優勝や準優勝を果たせば、世界は一変します。M-1特需と呼ばれるように、翌年1年間は寝不足になるほどオファーが来るほか、いずれは冠番組が持てる可能性もでてくるからです。

この厳しい世界で結果を出せる芸人さんには、2種類の人がいます。

まずは、天賦の才能がある人。

明石家さんまさんやダウンタウンの松本さん、浜田さんといった100 年に一人と呼ばれるような「天才」。台本や打ち合わせがなくても、即興で笑いを起こすことができてしまう人たちです。

もう一方は、「勝てるモデル」を発明した人たちです。

例えば、2008 年のM-1で準優勝を果たし、今もたくさんのお笑い番組に出ている若林さんと春日さんのコンビ、オードリー。

2008 年に準優勝するまで、なんと9年間もの下積みを経ています。その間、ひたすらネタを作り続け、ときにはボケとツッコミを変えるなどして、ようやくたどり着いたのが「ズレ漫才」と呼ぶあのスタイル。

このことは、ネタ作りをしている若林さんが、ラジオなどでこのように話しています。「俺たちは漫才の才能では勝てない。だから、ズレ漫才を発明した」と。

天才と呼ばれる人たちを目にすると、「敵わない」と思いがちです。

そこで諦めてしまう人もいるでしょう。

しかし、漫才の世界でもビジネスの世界でも、すべてが一握りの天才で構成されているわけではありません。

天才と並び立つ方法。

それが「勝てるモデル」を発明することにほかならないのです。

●偶然を必然にするために

なぜ、そのようなものが必要なのか。

それは「偶然を必然にする」ために他なりません。

さきほどのオードリー若林さんも、ズレ漫才にたどり着くために、古今東西の漫才の型を研究したそうです。

お金がないときでも吉本の劇場に足繁く通い、入念に研究し続けたそうです。

その研究対象となるのが、成功している事例。

なぜ、お客さんが笑ってくれるのか。

そこには必ず、「原因」があります。

決して、偶然ではありません。

お笑いは、漫才・落語など種類を問わず「緊張と緩和」で笑いが起きると言われています。

ボケがどんどんボケ続け、的確な間で鋭いツッコミを入れる。すると笑いが起きる。こういうしくみがあるのです。

これはビジネスも同じです。

どうすれば儲かるのか。そのしかけが必ず存在するのです。

●オススメのネタ探し場所

お笑いのネタを探すのが、劇場やテレビなら、ビジネスのネタはどこで探せばよいのでしょうか。

大きく4つあります。

1)WEB
2)新聞
3)伝聞
4)街中

1)WEBでのオススメは次の2つです。

・Sankei Biz 中小企業ニュース
http://www.sankeibiz.jp/business/lists/company-n.htm

・PR TIMES
https://prtimes.jp/

いずれも、ニュースリリースがメインです。

つまり、新製品や新サービスの告知です。

同様に、2)新聞でも次の2紙がとくにオススメです。

・日経MJ
・日刊工業新聞

日経MJ は流通サービス業、日刊工業新聞は新製品を紹介しています。

非常に良いヒントになります。

3)「伝聞」とは、人との会話の中という意味です。

もちろん、伝わってきている時点で、少し古くなっていますが、その傾向、キーワードは重要です。

とくに、複数の人から同じキーワードを耳にしたとき、要注意です。

4)「街中」は、自分の足と目で確かめる方法です。

はっきりいって、ベタです。

新しい、もしくは話題になっているスポットに出掛けてみる。

これだけです。

とくに都内では、毎年のように新しいスポットが誕生しています。

ニュースで見るだけに済ませず、足を運んでみる。

その目で見て、「なぜ、ここが流行っているのか」、その原因を探してみましょう。

●見つけたネタのストック方法

オススメは、「スマホアプリのスキャナ」と、「エバーノート」の組み合わせです。

スマホアプリのスキャナは、新聞記事を撮るのにとても重宝します。通常、カメラだとどうしてもうまくいきません。

スキャナであれば、残したい部分を選択できるなど、あとから確認するときに便利な機能がついています。

エバーノートは昔から使っているという方もいらっしゃるかもしれません。さまざまな特徴がありますが、中でもいちばん有り難いのが「無料」であること。そして、もう1つが、媒体間の同期です。

通勤途中で見ていた新聞で、「おっ?!」と思うものを見つけた。

すかさずカメラで撮っておけば、そのままエバーノートでスマホ、タブレット、そしてPC 間で共有できます。もちろん、自宅と勤務先でもです。

●整理整頓はほどほどに

集めた情報はきちんとカテゴリーに分けて……なんてことは必要ありません。

整理整頓に時間をかけてしまうと途中でイヤになります。そもそもそんなことに時間を割くのはもったいない。

それよりももっと単純に、かつあとで見直したときにわかる方法があります。それは、

「日付」
「内容」

この2つだけで分けてしまう方法です。

例えば、9月8日の日経新聞でいい記事を見つけた。

そうしたら、記事の写真と日付だけをノートやEvernote(エバーノート)に付けておく。

このとき大切なことは、1つずつに分けること。

同じ日付で、他にもいいネタがあってもページやファイルを別にするのです。

ちょっともったいない気がしますが、あとで見直すときに大変ラクです。

無理することなく、続けることがメインであって、キレイに整理整頓することが目的ではありません。

ご紹介した方法にとらわれず、自分用に「できるだけ簡単な」方法でやってみてください。

儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート
酒井威津善(さかい・いつよし)
フィナンシャル・ノート代表。ビジネスモデルアナリスト。東洋情報システム(現TIS 株式会社)にて10 年間に渡り、法人向けシステム提案、企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12 年間CFO を歴任。2013年より独立。現在、年商50億円規模の中小企業を中心に、財務コンサルティングから新規事業の企画、設計及びサポートなどを行っている。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます