(本記事は、酒井威津善氏の著書『儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート』自由国民社、2018年11月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

「マネタイズ」で探す

儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート
(画像=LightField Studios/Shutterstock.com)

●マネタイズとは何か

ようは、「どこで、どのように利益を出しているか」、です。

一昔前、フリーミアムモデルが流行りました。

商品やサービスを無料で提供し、そのあと有料のものに移行してもらう仕掛けです。スマホアプリではもはや当たり前ですよね。

しかし、無料から有料へ切り替えてもらうのは簡単ではありません。

100人いても100人全員が有料に切り替えてくれるわけでもない。スムーズに変わってもらうために、もうひと工夫必要なわけです。

ここでは、こうしたさまざまなビジネスの「マネタイズ方法」を見ながら、新しい「儲けのしくみ」を探してみましょう。

●さまざまなビジネスのマネタイズ

1.直接販売

本やコンテンツ、外食など商品やサービスを提供して、直接売上を立てるものです。もっともポピュラーなスタイルです。

2.利用料

設備や資産などの利用料です。

倉庫、不動産賃貸など固定資産への課金と、ソフトウェア、アプリなどの無形資産への課金があります。

さらに、利用時間、範囲に応じて費用が変わる従量課金型と、あらかじめ月極などで決められた月額定額タイプに分かれます。

応用型として、携帯やスマホの利用料金のように、定額部分と従量課金部分とを合わせもつ、ハイブリッド型もあります。

3.広告収入

放送、新聞、雑誌、WEB サイトなど広告枠を提供して、広告出稿者から広告料を得るタイプです。

4.手数料

銀行、証券、不動産仲介、クレジットカードのように、取引や売上が発生した際に手数料として収入を得るものです。

他の費用と異なり、定額ではなく「比率での提示」が可能になるため、対象の金額が大きくなると比例的に大きくなる強みをもっている反面、小さい場合は定額のそれよりも少なくなってしまうデメリットを持っています。

5.技術料

1の直接販売と異なり、目には見えない「スキル」の提供に対して、収入・売上を得るものです。

理美容業、エステサロンなどのほか、プログラマーやエンジニアなどがこれに当てはまります。

提供範囲、サービスレベル、期間(時間単位、月次単位)によって、単価が異なるタイプです。

6.参加費(料)

セミナーや勉強会などへの参加費です。

一般的には、事前に支払われるか、当日回収されます。

7.会費

会員制度で必ず発生する費用です。

他のマネタイズと異なり、この費用は何もなくても発生します。

ただし、金額がある程度大きくなる場合、それに応じた設備や提供サービスが必要になります。

8.管理費

ビルやマンションなどで発生する費用です。

おなじみですね。

9.基本料

システム関係や設備を利用する際、あと身近な例ではスマホの契約で必ず登場します。

紐付けされる明確なコストはありません。

そのため、ほぼそのまま利益です。

10.保守費

基本料と性質が似ていますが、システムや設備を納品したあと、サポート費用として発生するものです。

何か起きた場合に都度対応するスポット対応か、月額で一定額発生するこの保守費か、利用者はいずれかを選ぶことになります。

11.保険料

その名のとおり、保険契約をすると発生する費用ですね。

この費用と似た性質を持っているものに、パソコンやスマホ、家電など耐久消費財を購入した際によく案内される「長期保証サービス」がありす。

もともと付いている無料の保証期間とは別に、追加で費用を払うことで3年や5年など長期間に渡って、無償で保証を受けられるものです。

12.賃料、レンタル料

アパートなどの不動産の賃貸から、レンタル用品にかかる費用など、なにがしかの「資産」を貸し出した対価として受け取るものです。

従来、販売されていたものが、レンタルに変わる事例が増えています。販売だとなかなか手が出しにくい高価格のものをレンタルで提供する。利用者にとってハードルが下がります。

13.授業料

月謝と授業料の違いをご存知でしょうか?

月謝は教えていただいたお礼の意味合いがあり、授業をうけていなければ発生しないものです。一方の授業料は、受けても受けなくても発生するもの。月会費と呼ぶ予備校などもあります。

●置き換える、追加する

さまざまなマネタイズの種類をご紹介しました。

今、検討中の、もしくはアイデアとして浮かんでいるビジネスの、マネタイズをぜひ、別のマネタイズに置き換えたり、追加してみてほしいのです。

例えば、何か商品のレンタルをイメージしていた。

そのままいけば、「レンタルフィー」です。

日数なのか、月数なのかは商品次第ですが、貸した期間に応じて発生しますね。

そこへ、保険料を追加する。

月額数百円で十分でしょう。なにせコストはないのですから。

この例であっ、と思われたかたもいるかもしれません。

そうですね。私たちにとってはもうなくてならない存在。

スマホの契約です。

ありますよね。保険的なオプション。

あの収益は相当なものだと言われています。

ぜひ、あなたのビジネスに、もう1つマネタイズの要素を加えてみてください。

当たっているビジネスの「周辺」を探す

●周辺とは何か

一言でいえば、「コバンザメ商法」です。

すでに成功して、1つのカテゴリーになっているようなビジネスの傍流を狙うのです。

こんな説明をすると、「うーん、できれば世の中を変えるようなビジネスをしたいんだが…」と感じられるかもしれません。

もちろん、それは重要かつ大切なことです。

例えば、教育の機会を増やす、就業困難な人の手助けをするなど、いわゆるソーシャルビジネスがそれです。

ただ、これらは「一から創る」必要があります。

壮大な試行錯誤の連続が予想されます。

では、なぜ「コバンザメ商法」をすすめるのか。

その理由は試行錯誤の反対、「顧客がいる」「需要がある」これです。

そこに顧客がいるのか。ご存知のとおり、このことを確かめるにはとてつもなく手間やコストがかかります。

「さきほどのソーシャルビジネスでも顧客はいるだろう」

もちろんです。

ただし、お金になるかどうかまでは明らかではありませんよね?

コバンザメ商法は、その手間を省いてくれるのです。

●どうやって探すか

まず、メインとなるジンベイザメを探します。

メイン=ジンベイザメが定まったら、いよいよその「周辺」を探すわけですが、さて、どう探せばよいのでしょうか?

オススメの視点は、「メインが提供できないことは何か」です。

ジンベイザメが食べきれないものをその側にいて「おすそ分け」を受けるのがコバンザメです。

ビジネスも同じです。

メインビジネスがカバーしきれないものを探しましょう。

・なぜ、提供していないのか
できていない(したくてもできない)理由は2つあります。

・「利益が合わない」
・「メインとカニバリを起こす」

です。

1つめは、とくに大企業が手がけているビジネスによく見られます。

例えば、スマホケースにおける携帯キャリア。

三大大手キャリアのショップにいくと、スマホのアクセサリーが販売されています。

しかし、ご存知のとおり家電量販店のほうが種類は圧倒的ですよね。

キャリアのショップでは壁面の一部に飾られている程度ですが、家電量販店だと、1フロアのほとんどがスマホアクセサリー売り場になっていることもあるほどです。

携帯キャリアにとって、メインビジネスは通信料、そしてスマホ本体の販売です。とくに通信料はキャリアが占有しています。

これらに比べて、アクセサリー類ははっきりいって旨味が少ない。

通信料のように毎月発生するわけではありませんし、競合も多い。大企業である3大キャリアにとっては割に合わないのです。

カニバリとは、カニバリゼーションのことで、いわゆる「共食い」のこと。ビジネスにおいては、その商品やサービスを扱うことでメインの利益が落ちてしまうことを指します。

例えば、スーパーとコンビニのような関係です。

同じ企業グループでこの2つを展開すれば、(展開するエリアを遠ざければ別ですが)特に戦略がなければお互いの売上を奪い合う格好になります。

金融機関が合併すると、必ず支店の統廃合をしますよね。

コスト削減がメインですが、そのままにしておくと同じエリアで二つ以上の支店があることで顧客の取り合いになってしまう面もあるのです。

カニバリは水平だけではありません。

垂直でも発生します。いわゆる「川上」と「川下」ですね。

製造業をやっている企業が、卸や販売を展開する。

以前の販売ルートとは別に、直接販売のルートが生まれることで、カニバリになってしまうことがあるのです。

・「周辺」が「メイン」になる恐れもあるが

例えば、iPhone やスマホのケース。

数年前であれば、それほどの種類はありませんでした。

しかし、さきほどご紹介したとおり、今や家電量販店に行くと、とても見きれないほどケースが販売されています。

残念ながら、ここまでくると「周辺」が「メイン」に変わってしまっています。でも、ここで考えをやめてはいけません。

そうです。

周辺→メインになった、ということは、またまたここから「コバンザメ」が考えられるのです。

スマホケースや保護フィルムの機能をざっと洗い出すと

・目の保護(ブルーライトカット)
・画面のキズ防止
・落下時の本体破損防止

などでしょう。

メインの目的は、「保護」。

裏返して考えると、「保護」以外は特に提供されてなさそうです。

ケースなんだから当たり前だろう!と終わってはもったいない。

チャンスがある、と思いませんか?

スマホを買い換える、新たに購入する。

その度にケースを買い換える。

絶対的な需要があるのです。

ぜひ、もう一歩踏み込んで考えてみてください。

そこにはトンデモないビジネスチャンスが眠っているかもしれません。

商品やサービスの「性質」から探す

世の中には、いろんな商品やサービスがあります。

そして、どんな商品やサービスにもそれらに特有の「性質」があります。

ここでは、その「性質」から、新しいしくみを探してみましょう。

●どんな性質があるのか

例えば、

人×預かる=保育所
人×教える=学校
モノ×預かる=宅配BOX
モノ×販売する=小売
技術×提供する=理美容業

といった感じです。

ここへ、

利用シーン:日常、非日常
価格帯:低価格、高額、定額
負荷分散:時間、場所、参加者

といった要素を加えることでさらに新しいしくみが考えられます。

●性質から発想できること

もちろん、「組み換え」です。

上に挙げた例のうち、技術×提供する=理美容業

この技術を「資産」に置き換えてみると、資産×提供する=?

このままだとピンときませんよね。

理美容業にとって「資産」とは何でしょうか?

そうです。「設備」です。

決して安いものではありません。

新店舗を開くとき、「居抜き物件」を選ぶのはごく一般的な手法です。

それほど高い。回収にも時間がかかる。

であれば、それを必要としている人に「貸して」しまえばいい。

資産×貸す=理美容業 という恒等式に変わりますね。

これで、最近増えはじめている「オンデマンド美容室」の出来上がりです。

もう1つ行きましょう。

今度は「資産」から出発してみましょう。

例えば、地主さん。

資産×貸す=地主 ですよね。

都心の一等地だったら、この性質はそのまま成立するでしょう。

しかし、今や少し郊外になるだけで、非常に厳しい状況にあります。

そこで、この性質の式を変えてみましょう。

資産×提供する=?

何かを提供する場所にしてしまう…? 何が提供できるでしょうか?

こういうときは、まず「制約条件」を洗い出しましょう。

土地や建物といった資産の制約条件。

それは、「広さ」です。

当然ですが、無限ではありませんよね。

それともう1つ。

これは土地や建物といった資産ならではの制約ですが、「現状回復」があります。別の用途に切り替える際に、大きなコストがかかるという条件です。

「広さ」「現状回復」。

この2つを満たすもの。つまり、あまり場所を取らず、できれば元に戻すのが簡単。

となると、飲食業やその他サービス業をテナントとして入れるのはダメですよね。2つめの条件が合いません。

それほど広さを取らずに、撤去しやすいもの……今どきならではのものがありませんか?

そう、「VR(バーチャル・リアリティ)」です。

VRのアトラクションです。

さきほどの飲食店やサービス業のように、大幅な内装も必要としません。

メインは、VR設備ですから。

こうして生まれるのが、資産×提供する=VRアトラクション です。

●手順のまとめ

ご紹介した手順を振り返ってみましょう。

1)まず、業界一覧を見て、ターゲットを選ぶ
2)ターゲットの「性質」を掛け算で分解する
3)掛け算の変数を別の変数に置き換えてみる→かたっぱしからでOK です!
4)置き換えてみて、できるかどうか→制約条件を洗い出す
5)さらに置き換えてみる

ぜひ、いろいろ組み合わせをしてみてください。

思わぬ発見があるかもしれません。

儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート
酒井威津善(さかい・いつよし)
フィナンシャル・ノート代表。ビジネスモデルアナリスト。東洋情報システム(現TIS 株式会社)にて10 年間に渡り、法人向けシステム提案、企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12 年間CFO を歴任。2013年より独立。現在、年商50億円規模の中小企業を中心に、財務コンサルティングから新規事業の企画、設計及びサポートなどを行っている。

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