遺留分減殺請求により財産を取得した場合の相続税の申告期限は、特に定められていません。但し、遺留分減殺請求を受けた側が、更正の請求を行い、相続税額の還付を受けた場合、何もせずに放置したままにしますと、税務署長が決定を行います。
遺留分とは、民法で定められている相続人が最低限取得できる被相続人の財産のことです。遺留分減殺請求を行うことによって、一定の財産を取得することができます。
遺留分減殺請求を受け財産が減少した者と、遺留分減殺請求を行うことにより財産を取得した者の手続き及び請求・申告期限は以下の通りです。
1. 遺留分減殺請求を受け財産が減少した者(甲)
遺留分減殺請求に基づき弁償すべき額が確定し、甲が当初取得した財産が減少したことで相続税額を納めすぎとなった場合には、甲は相続税の更正の請求手続きを行うことができます。更正の請求手続きとは、既に行った申告につき、相続税額等が過大であった場合に減額更正を求める手続きです。
更正の請求を行う場合には、弁償すべき額が確定した日の翌日から4か月以内に更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類を提出する必要があります。
2. 遺留分減殺請求を行うことにより財産を取得した者(乙)
遺留分減殺請求に基づき財産を取得したことで納付すべき相続税額が新たに生じた場合又は増加した場合には、乙は相続税の期限後申告又は修正申告ができます。期限後申告又は修正申告の場合は、申告書を提出した日が納期限となるため、申告書提出日より後に相続税を納めると、延滞税が課せられます。
期限後申告又は修正申告の申告期限は定められていませんが、甲が更正の請求を行い、相続税額の還付を受けた場合、乙が申告書を提出しないと税務署長が相続税額の決定を行います。税務署長の決定がなされると、相続税の本税の他に無申告加算税も課せられます。
そのため、甲の更正の請求の期限に合わせて乙は相続税の申告をする必要があります。
(提供:チェスターNEWS)