中国では来年1月1日に、初めて企業に浄化責任を課す土壌汚染対策法が施行される。政府が環境対策に本腰を入れる中、厳しい規制への対応ニーズが膨らむ方向。有力な物色テーマとして関連銘柄が注目を集めそうだ。
環境問題が深刻化する中国では、経済発展戦略の第12次5カ年計画(2011~15年)での環境汚染対策費用がそれ以前の5年間の2.7倍となる4.3兆元(68兆円)に膨らんだ。16~20年の第13次計画でも重要な課題となり、土壌改善は水や大気と並ぶ最重要テーマの一つに位置付けられている。
16年に公布された同国の土壌汚染防止行動計画によれば、20年までに汚染土壌の安全利用率について、耕作地で9割前後、非耕作地で9割以上とする目標を掲げている。なお現状の汚染率は耕作地の2割弱、工業用地ではさらに高い水準とみられる。
土壌汚染対策法は、工場などを展開する企業に対して土壌汚染のリスク管理や修復を義務付ける。違反した場合に日本円で最高3200万円に相当する罰金が科され、現地に進出する日系企業の戦略にも影響を与えそうだ。地方政府も歩調を合わせ、北京市が土壌汚染の改善に向けた3カ年行動計画を直近発表。汚染状況の調査にも乗り出した。
こうした中、有力な銘柄の一つがエンバイオ・ホールディングス(6092・M)だ。同社は土壌汚染対策を主力とし、土壌や地下水の調査から対策工事、近隣住民との折衝支援までを総合的に手掛けている。SOMPOホールディングス(8630)と組み、中国で日系企業向けの環境コンサルティングにも取り組んでいる。
今3月期上期には中国での規制強化に関連した受注を獲得し、今後の収益への本格寄与が期待される。株価は今年1月に大相場がピークアウトし、これまでに昨春以降の上げ幅をすべて失った。一回りしたところで、新たな材料に備えたい。
DOWAホールディングス(5714)も中国で土壌汚染調査や浄化事業を展開する。産業廃棄物処理を手掛けるダイセキ(9793)は、アジアを中心に海外事業の強化に取り組む。もちろん中国は有望市場だ。子会社はダイセキ環境ソリューション(=ダイセキS、1712)。
土壌診断の片倉コープアグリ(4031)は、中国で現地企業と合弁会社を立ち上げた。微生物の力で煙を出さずに藁(わら)を処理する技術も持ち、土壌や大気に有害な物質が出る「野焼き」防止に貢献する。(12月27日株式新聞掲載記事)
>>話題のテーマや注目株を一足早くお届け「株式新聞WEB」限定プレミアム銘柄も
【関連株式ニュース 株式新聞へ】
・きょうのストップ高銘柄=28日―5銘柄(気配含まず)
・きょうのストップ安銘柄=28日―1銘柄(気配含まず)
・(再送)日経平均は62円安と3日ぶり反落、2万円台は維持、年間で7年ぶり下落=28日大納会後場
・マザーズ指数反落、サンバイオなど下落=新興市場・28日
・28日の東京外国為替市場=日経平均下げ渋りを背景にドル・円軟化