相続について考える時、金融資産の場合は分けやすく、かつ価値が算出しやすいため、あまり悩むことはないかもしれませんが、不動産の場合、価値の算出等で、悩むケースが出てきます。特に、不動産価値を決める「路線価」については理解があいまいな方も多いのではないでしょうか。路線価の調べ方や不動産を活用した節税について解説します。

不動産を相続するのは、金融資産を相続するより、税金的には有利?

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(写真=Jon Bilous/Shutterstock.com)

悩みが多い不動産の相続ですが、実は、不動産を相続することのメリットもあります。なぜなら、不動産の相続は、金融資産の相続に比べて税金的に有利に働くことが多いからです。

相続の場合、一般的に不動産の価値は相続税路線価と呼ばれる指標を持って決められます。相続税路線価とは、相続税を決めるための不動産の価値の算出方法です。一般的に、公示価格の8割くらいの価値で算出されることが多いため、同じ金額であれば金融資産より不動産のほうが税金が安くなるのです。

さらに、仮に住んでいる建物を相続する場合は、小規模宅地等の特例というものが活用でき、さらに相続税が安くなります。被相続人の居住地として使っていた土地の場合、最大330㎡以内であれば、相続税が最大80%減額されるという仕組みがあるのです。実際に、親が住んでいた家を相続するケースというのはよくあると思いますが、この小規模宅地の特例を使えば相続税は限りなく減額することができます。

相続税路線価ってどうやって決まるの?

では、相続される不動産の価値は、いったいどのように決められるのでしょうか。2つ方法があります。1つは、先ほどから言っている、相続税路線価というものをベースに不動産の価格を決める方法です。

不動産の価値は、一般的に相続税路線価×面積で決まります。相続税路線価は、その道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額を指しており、1年に1回、国税庁が発表しています。路線価による計算は、一般的な正方形や長方形を基準にして作られていますが、実際に価額を決める時は、価格の異なる2つの路面に面している場合や、奥行きの長さ、間口の広さ、セットバックが必要かどうか、いびつな形をしていないかなど、様々な補正を行いながら決定していきます。

しかしながら、路線価が存在しない地域というものもあります。その場合は、倍率方式という固定資産価額に一定の倍率をかけて土地の評価を行う方式をとります。

路線価および評価倍率は、国税庁が公開しており、国税庁のウェブサイトから調べることができます。もしくは、各地方の税務署には、その土地の路線価が記載された路線価図があるため、そちらで調べることも可能です。

不動産で節税をするためのポイントとは?

路線価や倍率方式で不動産価額は決定されていきますが、不動産はうまく使えばさらに節税を行うことが可能です。

その方法とは、建物を建てて、それを貸し出すということです。不動産を評価する際に、貸家建付地にすると評価額が変わってくるのです。

貸家建付地の評価方法は、自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合で算出されます。つまり、貸し出している部分の割合が多ければ多いほど、その土地・建物の相続税上の価値というのは下がっていきます。借地権割合や借家権割合というのは、地域によって異なります。例えば、東京都の借家権割合は30%になります。こちらも詳細な数字は国税庁のウェブサイトから確認できます。

不動産の相続税は、知識次第で大きく変わる

不動産というのは、1つ1つ異なるもので、2つとして同じものはありません。そのため評価が難しく相続の時に問題になる項目の1つです。

相続時、不動産の価値は相続税路線価を用いた路線価法か、倍率方式によって決まっていきます。一般的に、同じ価額であれば金融資産より不動産のほうが相続税は安く、さらにその不動産を貸し出している場合はさらに節税することも可能です。きちんとした不動産の知識を身につけて、相続時の悩みを1つでも減らしましょう。

文・J PRIME編集部

(提供:JPRIME

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