日本とEU(欧州連合)の間で関税を撤廃するEPA(経済連携協定)が2月1日に発効する。経済圏は世界最大級。日本はこれまで以上に工業製品の輸出余地が広がるほか、酒類など食品の日本ブランドの海外展開のチャンスが一気に膨らむ。改めて関連銘柄に注目したい。

日欧EPA
(画像=Alexander Limbach/Shutterstock.com)

日欧EPAは、輸出入に伴う双方の関税を域内で廃止もしくは削減するほか、サービスに関する規制も緩和する。昨年12月に発効した、日本や豪州、東南アジア諸国など11カ国が参加するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に続き、新たな自由貿易圏が生まれることになる。

EUへ輸出される日本製品への関税はほぼ全品目で廃止され、日本への輸入品も自由化される(関税撤廃率はそれぞれ99%、94%)。国内市場が人口減に伴い縮小する中、EPAによる海外進出は日本企業の成長に欠かせない。米中間の貿易摩擦に代表される保護主義的な流れに抗(あらが)う対抗軸としても、日欧EPAへの注目度は高い。

日本政府は、日欧EPAが日本の実質GDP(国内総生産)を約5兆円押し上げ、約29万人の雇用を生むと予想。特に、自動車や機械は外需拡大の期待が大きい。

例えば現状でEUが10%を課す日本車への関税は段階的に引き下げられ、発効8年目にゼロになる見通し。マツダ(7261)の世界販売台数に占める欧州向け比率は約17%。トヨタ自動車(7203)や三菱自動車(7211)、日産自動車(7201)なども関税の引き下げ・撤廃が追い風となりそうだ。

自動車部品に対する関税も9割以上が即時撤廃される。デンソー(6902)のほか、欧州市場を強化する曙ブレーキ工業(7238)、アドバネクス(5998)、ハイレックスコーポレーション(7279・(2))、アルファCo(3434)などが注目される。

日本酒や農産品の輸出も本格化が見込まれる。2017年に8000億円超まで拡大した農林水産物の輸出(13年は5500億円)について、政府は今年1兆円まで拡大する目標を掲げている。このうちアルコール飲料は昨年545億円(前年比27%増)に伸びたが、人気のウイスキーに続き日本酒なども日欧EPA発効を機に売り込んでいく構え。国税庁は日本酒や焼酎の輸出強化へ向けた予算について、19年度に前年度比5割増の2.5億円を上積みした。

関連銘柄は、宝ホールディングス(2531)やオエノンホールディングス(2533)のほか、ヤマエ久野(8108・福)などがある。

穴株としては、酒類の製造や輸入販売を手掛ける旧ジャパン・フード&リカー・アライアンスを買収したJFLAホールディングス(3069・JQ)をマークしたい。ドイツの和食材スーパーを子会社化するなど、M&A(企業の合併・買収)を通じた海外展開にも意欲を見せている。ワインの輸入も手掛け、輸出入双方でメリットが見込まれる。株価は足元で25日移動平均線を奪回し、戻り歩調を強めている。(1月10日株式新聞掲載記事)

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