病気・死亡のリスクや老後への備えとしての役割を担う、生命保険。商品を検討する際は保障内容だけでなく、保険会社選びも慎重に行いたいところだ。信頼できる保険会社かどうかは、経営内容を確認することである程度把握することができる。

ディスクロージャー誌で保険会社の経営内容を確認

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(画像=Rawpixei.com/Shutterstock.com)

生命保険、特に貯蓄性の高い保険や短期払いの終身型保険への加入を検討する際、保険会社が破綻しないか、会社の信用性について懸念する人は少なくない。確かに、どんなに魅力的な商品であっても、責任を引き受ける保険会社が破綻してしまっては意味がない。保険は商品内容だけでなく、販売する保険会社の信用性についても慎重に判断した上で加入することが大切だ。

そこで確認したいのが、保険会社の経営内容だ。保険会社は財務状況や財産状況を事業年度ごとに開示することが義務付けられており、毎年7月末までに一般閲覧用の「ディスクロージャー誌」が作成される。このディスクロージャー誌からは、以下のような情報を読み取ることができる。

・直近5事業年度における主要業務の状況
・責任準備金や資産の運用状況
・資本金
・基礎利益(1年間における保険本業の期間収益を示す指標) ・ソルベンシー・マージン比率

注目すべきはソルベンシー・マージン比率

上記のように生命保険会社のディスクロージャー誌からはさまざまな情報を読み取ることができる。その中でも注目したいのが「ソルベンシー・マージン比率」である。

生命保険会社は責任準備金を積み立てており、通常予測されるような保険金支払いのリスクについてはこれにより十分カバーすることができる。しかし長い年月の中では、大災害や大規模なテロ、世界的な株価の大暴落など予期しえないことが起こる場合もある。

そこで金融庁は保険会社に対して「支払余力」を示すソルベンシー・マージン比率の公表を義務付け、その数値を不測の事態における保険金支払いリスクにどこまで対応できるのか判断する際の指標としている。ソルベンシー・マージン比率と支払余力は比例関係にあり、これが200%を下回った場合は金融庁が保険会社に対して経営状態回復のための措置を講じる。

保険会社の信用性について判断したいときや商品選びで悩んだときは、各保険会社のディスクロージャー誌を見てソルベンシー・マージン比率がどのくらいなのか確認してみてはどうだろうか。

保険会社が破綻した場合の保障はどうなる?

信用性について注意深く検討してみても、保険会社が破綻する可能性はゼロではない。では、加入している保険を販売する保険会社が破綻してしまった場合、契約はどうなるのか。

保険会社が破綻したからといって、契約が消滅することはない。破断した保険会社を引き受ける「救済保険会社」があらわれた場合にはその会社により、あらわれなかった場合には「生命保険契約者保護機構」により、契約が引き受けられるのだ。

受けられる保障が削減される可能性はある

生命保険会社が破綻した後も契約自体は存続するが、受けられる保障については削減されてしまう可能性がある。保険業法等は、破綻保険会社から引き受けた保険契約の保障限度額を原則として責任準備金等の90%とすることを定めている。責任準備金とは、保険金額や給付金額、年金額ではなく、支払われた保険料の一部からなる積立金のことを指す。

つまり保険会社が破綻すると、受けられる保障が約定の内容より悪くなってしまうことがあるのだ。

生命保険は長期間かけるもの!保険会社選びは慎重に

生命保険の中には数十年にわたって保険料を支払い続けなければならないものや、生涯にわたって保障を受けられる終身タイプの商品も多い。老後のことまで考えて保険に加入したにも関わらず保険会社の破綻により受けられるはずの保障を受けられなくなってしまった……という事態に陥っては、将来のライフプランや資金計画に大きな影響を及ぼしかねない。

保険商品を選ぶ際は商品の内容だけでなく、これを販売する保険会社の信用性についても慎重に検討することが大切だ。

文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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