外食産業の食品廃棄物をエネルギーとして再利用する動きが広がりつつある。下水処理場のバイオガス発電などを活用することで、本格的なリサイクルの流れが加速しそうだ。栗田工業(6370)や月島機械(6332)といった関連銘柄をマークしたい。
日本国内の食品廃棄物は、2017年度の時点で8割超が肥料や飼料などに再利用されている。しかし、外食産業に限るとその割合は2割程度にとどまっており、年間で食品廃棄物全体の1割に相当する200万トン近くが無駄になっている。
外食の廃棄物は塩分や油分を含むものが多く、飼料や肥料への利用には不向き。結果的に焼却処分されるケースが多く、環境面でも問題となるため、農林水産省を中心に再利用の方法を検討している。
セメントやコンクリートの材料として使うほか、固形燃料化などが挙げられてきた。しかし、ここにきて注目を集めつつあるのがバイオガス発電だ。その燃料としては、食品廃棄物は従来の下水や汚泥よりもガス発生量が多いとされ、発電の効率化につながるメリットも期待されている。
バイオガス発電では、JFEホールディングス(5411)傘下のJFEエンジニアリングが受注した国内最大級のプラントが、17年に愛知県豊橋市で稼働した。下水や生ごみなどを集約して発電をしている。JFEはほかにも複数のバイオガスプラントを手掛けており、国策にも乗り受注を拡大しそうだ。
また、水処理で知られる栗田工は食品廃棄物などの処理能力が高い微生物「アナモックス菌」を取り入れているほか、生成能力が従来の2倍以上の「縦型乾式メタン発酵技術」を用いた施設を産業廃棄物処理施設から受注、昨年10月に運転を開始した。同技術は一般のごみ焼却施設のほか、中小施設でも高レべルのエネルギー回収が可能となるだけに、普及につながりそうだ。
栗田工の今3月期、連結営業利益は240億円(前期比6.8%増)を計画。来期の見通しが注目される中、株価は上値を抑えていた200日移動平均線の奪回が焦点となる。
月島機は下水処理場でのバイオガス発電事業を手掛けている。国内で既に13のプラントが稼働し、2万1000世帯相当の電力を生み出す。再生可能エネルギーの固定価格買取制度にも乗り、今後も存在感を増しそうだ。株価は昨年12月の安値を底に反発し、足元では上昇第2波を待つ状況にある。
このほか、川崎重工業(7012)やタクマ(6013)も食品廃棄物や生ごみを用いたバイオガス発電を手掛ける。愛知電機(6623・名)も新規参入し、昨年10月に三重県の養豚場で小規模なシステムを稼働した。(3月1日株式新聞掲載記事)
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