NISA(一般NISA)は年間120万円までと投資枠が決まっているため、銘柄選びに悩むことがある。NISAの銘柄選びでは、利益が非課税になるメリットを活かすようにしたい。NISA口座へ投資する銘柄について、株式を中心に選び方を紹介する。

NISAの銘柄選びは値上がり益か高い配当金・分配金を重視

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(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

NISAは、年間120万円の投資枠を5年間非課税で利用できる。つまり、最大で合計600万円の投資ができるのだ。銘柄選びでは「非課税」のメリットを活用できるようにしたい。

NISAで非課税となる商品は株式か投資信託などである。NISAの非課税メリットを活かすには、「値上がり益」か「高い配当金・分配金」を狙った銘柄選びがポイントとなってくる。値上がり益は、株式や投資信託を購入時より値上がりしたタイミングで売却して得る利益のことだ。

値上がり益を狙う場合の銘柄選びはスクリーニングツールを活用

値上がり益を狙う場合、5年間の非課税期間を考慮すると中期や長期での値上がりを期待できる銘柄を選ぶことになる。

株式を対象として中期や長期での値上がりが期待できる銘柄を選ぶには、株価の予想よりもファンダメンタル分析を活用するのが一般的だ。ファンダメンタル分析は、企業の業績や財務状況から株を分析する方法のこと。ファンダメンタル分析で銘柄を選ぶには、「成長株(グロース株)」と「割安株(バリュー株)」の2つに着目する。

成長株は、売上や利益を伸ばしていて将来の成長が期待できる企業の株である。業績の伸びに伴う株価上昇を期待する。

割安株とは、現在の企業価値に対して割安な株価に放置されている株である。企業価値が見直されることで株価が上昇することを期待する。

成長株や割安株の銘柄を条件に合わせて絞り込む(スクリーニング)するには、証券会社が提供するツールを利用する方法がある。各社のスクリーニングツールには違いがあるため、利用前によく比較する必要がある。

スクリーニングでは、ROE(自己資本利益率)やPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)をはじめとした証券会社で用意している独自の指標なども用いられる。利用する証券会社のスクリーニングの説明を確認して、自分が望む条件で試してほしい。

なお、投資信託をスクリーニングする指標は株式とは異なる。投資信託のスクリーニングについても金融機関の情報などを参考にするとよいだろう。

高い配当金・分配金を狙う場合の指標は高利回りともう1つ

株の配当や投資信託の分配金を狙って銘柄選びを行う場合は、単純に利回りが高い銘柄を選ぶ。ただしその方法では、将来の配当金・分配金の減額や評価額の下落リスクがある。

リスクを低減するためには、銘柄選びに高利回り以外の条件を加える考え方がある。

配当金・分配金が高利回りの銘柄を選ぶには

NISAでは配当金・分配金を非課税で受け取ることができる。配当金・分配金を狙う投資では高い利回りの銘柄が人気だ。利回りとは、株の場合には株価に対して年間の配当を示す数値であり、次のように計算できる。

株の配当利回り(%)=1株の年間配当金額÷1株の価格×100

株の場合、利回り3%程度以上の銘柄は高利回りといえる。こうした銘柄を探すには、証券会社などがホームページで高利回り銘柄を紹介しているので参考にできる。

例えば、1株4,000円で年間配当が120円の株は配当利回り3%(=120÷4,000円×100)であり、この株を300株買ったとする。年間配当は120円×300株=3万6,000円になり、NISA口座に5年間保有すると、3万6,000円×5年=18万円の配当を得る。

NISA以外の口座で同じ株を同数保有する場合には20.315%の税金がかかり、18万円×20.315%≒3万6,567円が税金として引かれることになる。

高利回りに加え、配当金・分配金が連続増額の銘柄を選ぶ方法もある

企業業績・運用成績などが悪化した場合には、配当金・分配金が減額することがある。配当金・分配金の減額などのリスクを考慮すると、銘柄を選ぶ条件として、高利回りに加え配当金・分配金が「連続増額」(株は連続増配)の銘柄を選ぶのも一つの手だ。

配当金・分配金が連続増額の銘柄を調べるには、それらの銘柄をまとめているホームページなどを参考にしよう。

NISAの銘柄で配当金・分配金を狙う場合に気を付けたい3つのこと

配当金・分配金を狙う投資ではいくつか気を付けたいことがある。

分配金として元本払戻金が多い投資信託はNISAメリットを活かすことが難しい

ETF(上場投資信託)を除く投資信託の分配金には「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があり、元本払戻金は元本を取り崩して支払われる。

元本払戻金はNISA口座に限らず非課税であり、元本払戻金が多い投資信託への投資はNISA口座の非課税メリットを活かすことが難しい。

特に毎月分配型など、分配金が多い投資信託には気を付けたい。

外国株の配当金はNISAでも外国で源泉徴収されることがある

外国株をポートフォリオに入れることはリスク分散に有効だといえる。ただし、国によって税制が異なるため、NISA口座の外国株の配当は、その国で課税されることがある。例えば、米国株はNISA口座であっても米国で10%(米国企業の場合)課税される。

なお、米国で源泉徴収された10%の税金については、NISA口座では確定申告の対象外となり戻ってくることはない。

NISA口座の配当金・分配金の受け取りは「株式比例配分方式」にする

NISAで株の配当金やETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)の分配金を非課税にするには、受け取り方法を証券会社で受け取る「株式比例配分方式」にしておくことが必要だ。自分が利用しているNISA口座の配当金の受け取り方法が不明な場合は一度確認しておきたい。

なお、株式投資信託のNISAでの分配金は受け取り方法に関わらず非課税である。

ここまで値上がり益と配当金・分配金の高利回り銘柄の選び方を紹介してきた。NISAの投資で、値上がり益と高利回りが両立できればきっとうれしい結果になるだろう。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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