10月の消費増税が迫る中、株式市場では小売セクターを中心に消費者の購買意欲にブレーキがかかることによる収益影響を織り込む動きがみられる。一方で、値ごろなリユース品に意識が向けられる可能性もあり、トレージャー・ファクトリー(=トレファク、3093)やコメ兵(2780・(2))などリサイクルショップ株が物色対象として浮上しそうだ。

株式新聞,リユース市場
(画像=PIXTA)

日本の個人消費はGDP(国内総生産)のおよそ6割を占め、消費増税による家計負担は2兆円超とも試算される。2014年4月の前回の増税時には、税率の上げ幅以上の便乗値上げと相まって、節約傾向は一気に強まった。政府は飲食料品の軽減税率導入やキャッシュレス決済によるポイント還元といった対策を打ち出すものの、効果は不十分だとみる向きもある。

悪いことに、国内の景気は既に軟化し始めている。3月景気ウオッチャー調査は現状判断指数(DI、「良い」―「悪い」)が16年7月以来の水準に低下。こうした状況での消費増税で、財布のひもが固くなることは必至だ。

そこで注目されるのがメルカリ(4385・M)に代表されるリユース市場。「シェアリングエコノミー」が浸透したこともあり、中古品への抵抗感は従来よりも弱い。最近では海洋汚染につながるプラスチックごみ問題もクローズアップされ、エコ意識の高まりもリユースへのシフトの加速を後押ししている。

需要の波を着実にとらえているのが、リサイクルショップ「トレジャーファクトリー」を展開するトレファクだ。前2月期には連結売上高177億円(前々期比8%増)と23期連続増収を達成。営業利益は9億円(同46%増)に急拡大した。スポーツ用品や衣料品をけん引役に販売を伸ばす一方、セール時の値引き抑制により利益率も高めている。

今期の営業利益は9.1億円(前期比0.4%増)とほぼ横ばいを見込む。これは、物流センターの増床や新規出店といった拡大戦略が背景にあり、売上高は前期比1割超増の197億円を計画。子会社とのPOSシステム共通化による在庫管理精度の向上効果を踏まえると、利益面には上積みの余地が残りそうだ。

また、EC(=Eコマース、電子商取引)事業の拡大も見逃せない。自社サイト経由のオンライン販売は前期に、前々期比2倍に急増した。「(店舗では手薄だったブランド品など)高額品をECの販路で強化する」(トレファクの野坂英吾社長)。また、引っ越しと不用品の買い取りを組み合わせた新事業もポテンシャルを秘める。

株価は11日に発表した前期決算を受け762円(前日比7.4%安)まで値下がりしたものの、中・長期的な成長確度にブレはない。今後は緩やかに上昇する75日移動平均線を支えに、17~18年の高値(それぞれ1105円、1094円)を目指す歩調が鮮明化するだろう。なお、3月の既存店売上高(単体)は前年同月比5.1%増と、通期の会社計画(同1%増)を上回る伸びとなった。

ブランド品リユースのコメ兵の全社売上高は、2月が前年同月比23.5%増、3月が23.3%増と大きく拡大している。インターネット取り寄せ品の店頭販売が集客に寄与。コメ兵とブランド品買い取りで協業するハピネス・アンド・ディ(=ハピネス&D、3174・JQ)や、マーケットエンタープライズ(=Mエンター、3135・M)、ゲオホールディングス(2681)、ハードオフコーポレーション(2674)などもマークしたい。(4月12日株式新聞掲載記事)

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