災害対策に本腰、観光客の安全も

株式新聞,非常用電池
(画像=PIXTA)

政府が災害に負けないインフラを整備する国土強じん化を推進する中、非常用電池が脚光を浴びている。昨年は大阪や北海道を地震が襲った際に非常用の電源として活躍。また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が順次期限を迎えることで、蓄電池にも注目が集まる。

昨年の北海道地震では道内全域で「ブラックアウト」が発生。また、台風24号によって静岡県を中心に5県で大規模な停電が起きた。IT機器の多い現代では、電気は水や食料と並び災害時に最優先で確保するべき存在だ。

相次ぐ災害に、国や地方自治体も対策に力を入れる。政府は停電時にも観光客の安全を確保できるよう、観光案内所に自家発電機や蓄電池の整備を支援することを決めた。

こうした流れを商機ととらえ、企業は需要の取り込みに動いている。パナソニック(6752)はIoT(モノのインターネット)を活用し、気象予想に応じて蓄電する住宅の販売に乗り出した。日本ガイシ(5333)は寿命の長いNAS(ナトリウム硫黄)電池に注力する。

こうした中、災害用に有力視されているのがマグネシウム電池だ。マグネシウムは埋蔵量が豊富で、リチウムと比べて安価に手に入る。さらに、容量や安全性にも優れている点などが評価され、非常用電源として売上を伸ばしている。

藤倉コンポジット(5121)のマグネシウム電池は、塩水を入れると発電を始める。2016年に上市して以来、災害時に公共施設などで活躍してきた。勢いに乗る同社は、5月にマグネシウム電池の原理を応用した家庭用のモバイル充電池を投入する。 同製品は、1台でスマートフォン2台分のフル充電に対応。既に予約販売を開始し、「好スタートを切った」(藤コンポ営業担当者)という。今後は産業向けの大型品の開発も期待できそうだ。

藤コンポの前19年3月期の業績は、主力の産業資材が米国の自動車部品メーカーの在庫調整の影響で伸び悩み、連結営業利益が前々期比45%減の11億円にとどまったもよう。ただ、株価は既にこれを織り込む形で大きく調整した。5月14日の決算発表と同時に示される今期見通しには、マグネシウム電池の貢献が反映される可能性がある。

三桜工業(6584)もマグネシウム電池の研究開発を進め、全固体電池を手掛ける米企業のソリッドパワーに出資もしている。このほか、古河電池(6937)、日本金属(5491)や不二サッシ(5940・(2))も関連株としてマークしたい。また、FITの期限切れに絡み、小型蓄電池のニチコン(6996)にもチャンスが広がりそうだ。(4月24日株式新聞掲載記事)

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