きちんとした統計的な分析でなく、「見た感じ」でものを言って恐縮だが、このところのNFP(非農業部門の雇用者数の前月差)と時間当たり賃金の前月比は「ちぐはぐ」な動きをしているようだ。NFPが強めの数字となると、平均時給はあまり上がらない。その逆もしかりだ。

米国雇用統計プレビュー
(画像=アメリカ合衆国労働省労働統計局データよりマネックス証券作成)

サンプル数が少なくて話にならないが、一応、散布図に線形の近似線を引くと右肩下がり、すなわち相関は負だ(Rスクエアが0.18なのでほとんど説明力はないが)。

米国雇用統計プレビュー
(画像=アメリカ合衆国労働省労働統計局データよりマネックス証券作成)

雇用統計のデータはいくらでも遡ってとれるので、もっとデータを多くとればどうか?いや、足元の、いまの状況にフォーカスしたいので、それでは意味がないのである。足元は、こんなふう「ちぐはぐ」になっている、というところがポイントなのだ。

今回の雇用統計ではNFPが18万人程度の増加、平均時給が前月比0.3%、前年比3.3%上昇とどちらも良好な数字が予想されているが、この「ちぐはぐ」の法則がなりたつとすれば、どちらかが外れることになる。それはマーケットにとってベストの結果だろう。熱過ぎもせず冷た過ぎもしない「適温相場」だからだ。逆に言えば、この「ちぐはぐ」のおかげで米国株は史上最高値を再び更新したのだとも言える。

順番では平均時給はそれなりに上がるが、NFPが下振れる、そんな結果になるのではないか。

広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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