きちんとした統計的な分析でなく、「見た感じ」でものを言って恐縮だが、このところのNFP(非農業部門の雇用者数の前月差)と時間当たり賃金の前月比は「ちぐはぐ」な動きをしているようだ。NFPが強めの数字となると、平均時給はあまり上がらない。その逆もしかりだ。
サンプル数が少なくて話にならないが、一応、散布図に線形の近似線を引くと右肩下がり、すなわち相関は負だ(Rスクエアが0.18なのでほとんど説明力はないが)。
雇用統計のデータはいくらでも遡ってとれるので、もっとデータを多くとればどうか?いや、足元の、いまの状況にフォーカスしたいので、それでは意味がないのである。足元は、こんなふう「ちぐはぐ」になっている、というところがポイントなのだ。
今回の雇用統計ではNFPが18万人程度の増加、平均時給が前月比0.3%、前年比3.3%上昇とどちらも良好な数字が予想されているが、この「ちぐはぐ」の法則がなりたつとすれば、どちらかが外れることになる。それはマーケットにとってベストの結果だろう。熱過ぎもせず冷た過ぎもしない「適温相場」だからだ。逆に言えば、この「ちぐはぐ」のおかげで米国株は史上最高値を再び更新したのだとも言える。
順番では平均時給はそれなりに上がるが、NFPが下振れる、そんな結果になるのではないか。
広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
【関連リンク マネックス証券より】
・平成最後の〇〇
・決算集計速報 PART2 昨日の決算発表は
・連休明けのマーケット動向
・年初来最も上昇した金融資産は?:金融緩和でビットコインの上昇が続く
・10連休に見直したいメガバンク株:ベータもボラティリティも低下。機関投資家離れが続く