不動産の購入を検討する時、購入後のキャッシュフローについて考えるものの、売却については深く考えない人は少なくありません。しかし、不動産投資は購入から売却までのトータルの損益で勝負が決まります。その意味で、購入時にできる限り出口戦略を考えておくことは非常に重要です。

ただし不動産価格は変動していくので、売却価格を正確に見積もることは難しく、厳密に購入から売却までの計画を立てるのは至難の業です。

それでも、出口戦略を考えて購入するのとしないのとでは成功の確率が変わってくるので、不動産を購入する際は出口戦略も考えて検討をすることをお勧めします。

今回は、その出口戦略の立て方についてお伝えしたいと思います。

保有期間を決める

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(画像=Sureeporn Teerasatean/Shutterstock.com)

まずは、不動産の保有期間を決めることが先決です。保有期間を決めないと、保有期間中と売却時のキャッシュフロー計画の精度が下がってしまうからです。

例えば、築30年で実質利回り1%の1億円の物件購入を検討しているとします。その物件を5年間保有する場合、保有期間中のキャッシュフローは合計500万円です。

しかし、そのエリアにある築35年の同類物件の成約事例の平均売買価格が9,000万円であり、5年後の不動産市況が今と同じだとすると、売却時に1,000万円損をする可能性が高いです。保有期間中のキャッシュフローはプラス500万円ですが、トータルで見ると500万円損をするため、投資としては失敗ということになります。

このように保有期間を決めることによって、トータルのキャッシュフローをより精緻に見積もることができます。おおまかでも構わないので、保有予定期間を決めて出口戦略を立てるようにしましょう。

購入時の周辺の同類物件の成約価格の把握

出口戦略を決める上で重要になのが、売却価格の予想です。これは上述の通り、完全に当てることはできませんが、ある程度予想をすることはできます。

予想する方法としては、周辺の同類物件の成約事例や売出価格を基に計算する方法があります。

まったく同じ物件ではないので、これもまた正確に算出することはできませんが、例えば、購入を検討している物件が駅徒歩5分圏内のワンルームマンションだった場合、インターネットで同類物件の成約事例や売出価格を調べることができます。

また、売却価格を予想する上で注意したいのは、自分が売却を予定している時点の築年数で考える必要があることです。例えば、築10年の物件を10年後に売却する予定であれば、築20年の成約事例や売出価格を調べることになります。

許容損切り幅と余剰資金の把握

最後に、出口戦略を考える上で損切りをする可能性もあることも考えておく必要があります。例えば、余剰資金が100万円しかない人が1億円の物件を購入した場合、物件価値が1%下落しただけで余剰資金がなくなってしまうため、危険な投資と言わざるを得ません。

もちろん、購入する時に損を想定して購入する投資家はいません。損が出る可能性の高い案件であれば、そもそも投資をすべきではありません。

それでも市況が悪化したり、想定外の天災やトラブルなどが発生したり、物件価値が急落したりする可能性はあります。自分の余剰資金とあまりにもかけ離れた規模で投資をしていると大変危険です。

したがって、不動産投資の初心者ほど、何かあった時でも自分の余剰資金でどうにかできる規模で不動産投資をスタートし、経験を積んでいくことをお勧めします。

要するに、出口戦略では上手く運用ができるケースを想定しておくとともに、上手く運用ができないケースも考えておく必要があるのです。これは、経験豊富な不動産投資家は自然と考えることですが、これから不動産投資を始める人は考えつかないことでしょう。上手くいかないケースも含め、出口戦略を立てるようにしましょう。(提供:YANUSY

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