AI時代は「味気ない世の中」なのか?

こうした分野でのAIの活用を「味気ない世の中になる」「人の仕事を奪う」と思う人もいるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。

たとえば、AIによって自分に合った就職先を見つけることで、合わない企業に就職してしまい、嫌な思いをする確率が下がります。企業側も同様に、ミスマッチによる採用コストの無駄を防ぐことができます。

結婚を真剣に考えている若い世代が、マッチングAIを使って効率的に相手を見つけられれば、結婚までの時間を無駄にすることなく、しかも幸せな結婚生活を送れる可能性も高くなります。素晴らしいことではないでしょうか。

SNSやネット上の画像データをAIに食べさせて、トレンド情報をまとめたり、次に来る流れを予測したりすることもできるでしょう。ヒットする作品の傾向や流れをAIで解析することもできそうです。

その情報をもとにクリエイターが創造力を発揮すれば、新しい文化が生み出されるはずです。それが人に感動を与え、生きる力になるのであれば、この手法はきっとスタンダードになっていくでしょう。

不確実な世の中を、AIで渡っていこう

不確実性だらけの世の中で、AIが判断のサポートをしてくれると考えれば、これほどありがたいことはありません。会社経営をした経験がある方なら、実感が湧くでしょう。

経営判断をする際、十分な材料が揃わず、結局カンと度胸で舵取りすることは多いものです。自分で自信が持てない判断でも、数千万、数億、数十億円というリスクを負うのが会社経営です。この気持ち悪さから解放されたいと、いつも思うものです。

AIはよくわからない、怖いものではない。それを理解することで、AI活用のアイデアがいろいろと湧いてくるのではないでしょうか。「AI活用について話す」ことができるようになれば、自分のビジネスの新しい展開が、きっと見えてくるはずです。

(斎藤広達著『数字で話せ』より一部抜粋・修正)

著者紹介:斎藤広達(さいとう・こうたつ)
シカゴ大学経営大学院卒業。ボストンコンサルティンググループ、ローランドベルガー、シティバンク、メディア系ベンチャー企業経営者などを経て、経営コンサルタントとして独立。その後、上場企業の執行役員に就任し、EC促進やAI導入でデジタル化を推進した。現在は、AI開発、デジタルマーケティング、モバイル活用など、デジタルトランスフォーメーションに関わるコンサルティングに従事している。

数字,斎藤広達
(画像=webサイトより)

数字で話せ
斎藤広達(シカゴ・コンサルティング代表取締役) 発売日: 2019年04月11日
会話に「数字」を盛り込むだけで、説得力は倍になる!「数字が苦手な人」でも今すぐ使いこなせるインプット&アウトプットの手法を、経営コンサルタントが解説。さらに、最新デジタルマーケティングから「ビッグデータ」「AI」までを「話せる」ようになるための基礎知識も紹介。「数字やITへの苦手意識」がなくなる!(『THE21オンライン』2019年04月22日 公開)

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