カジノ建設に伴い地価が上昇

2014年9月3日、太田昭宏国土交通相は記者会見で、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)の整備担当を務めるよう安倍晋三首相から指示されたことを明らかにしました。IR整備法案は自民党と日本維新の会、生活の党が共同で国会に提出し、継続審議になっています。太田国交相はカジノへの慎重派が多い公明党の出身。会見では「(審議の)結論を見てからでないと言及すべきでない」と述べ、具体的な役割については明言を避けました。政府は次期国会での法案成立を見据えて7月下旬、内閣官房に関係省庁の職員で構成する検討チームを発足させました。

ゴールドマン・サックス証券によると、東京や大阪、沖縄に4つのカジノ施設をつくった場合に市場規模は1兆5000億円になり、不動産やゲーム機器会社に加えて、地域のホテルや小売りなど幅広い産業に経済効果は波及するとしています。平均すると、カジノ1施設につき、経済効果は4000億円超ということになります。カジノ施設の周辺の商業地をはじめとする地価の上昇も期待されます。

カジノ建設の有力候補地

2014年7月、日本経済新聞がカジノ候補地について、以下の具体的な地名を挙げました。

・北海道 小樽・苫小牧・釧路市:市が誘致を表明

・千葉 幕張沖人工島: 幕張沖へメガフロート

・東京 お台場・青海地区: ホテルや会議場がある

・神奈川 横浜:海外から豪華客船が入港。2014年4月に検討会を立ち上げ

・大阪:臨海部の人工島「夢洲(ゆめしま)」が候補地

・長崎:ハウステンボス周辺に誘致

・宮崎:シーガイア周辺に誘致

・沖縄:国際観光拠点を目指す。施設の構想に向けて調査費を予算計上

日経新聞では、「ここから3地区を選定して2020年の東京オリンピックまでにカジノを備えた一大リゾートとしてオープン、外国人観光客の誘致に結びつける。カジノが「賭け」という因子を持っていることは間違いないから慎重派が言うように社会的リスクはあるだろう。パチンコ、競馬、ボートなどとはケタ違いに大きいものだろう。しかし、既に、日本は成熟社会であり、成熟にふさわしい社交場的なところはあっていいだろうし個人の自己責任意識も行き渡っている。雇用増や税収増にもつながるだけに国民の多くは賛成ではないだろうか。地方のカジノ&リゾートができれば地方創生にもなるはずである。」としています。

日経報道の他に、2014年8月19日、ブルームバーグによる報道もあり、米カジノ運営企業のMGMリゾーツ・インターナショナルが、移転後の東京・築地市場跡地を統合型リゾート(IR)建設候補地に挙げていることが明らかになりました。今年3月、同社CEOのジェームズ・ミュレンが築地を視察し、同地をお台場に次ぐ候補地のひとつとして検討しているとのことです。政府は東京五輪を開催する2020年までに全国3カ所前後で、カジノの開設を認める検討に入っています。

現在のところ、カジノの最有力候補地は、東京のお台場(青海)、あるいは、移転後の東京・築地市場跡地、大阪の人工島「夢洲(ゆめしま)」、国際観光拠点を目指す沖縄です。舛添都知事がカジノ誘致に消極的なこともあり、横浜市が有力視されつつあるとも言われています。

カジノ建設が地価に与える影響

政府がモデルにするのは、数多くのカジノが乱立するラスベガスやマカオではなく、ホテルや会議場、ショッピング施設など大型リゾート施設の一角に、少数のカジノを併設するシンガポール。シンガポールの2つのカジノのうち、「マリーナベイサンズ」は商業ビジネスの中心に近い港湾エリアに、一方、「リゾートワールドセントーサ」はリゾート地区として開発が続けられてきたセントーサ島に位置しています。セントーサ島も商業ビジネスの中心部から車で5分ほどの近距離です。マリーナベイサンズは米国のラスベガスサンズ社の100%子会社が所有・運営し、リゾートワールドセントーサはマレーシア資本のゲンティンシンガポール社が所有・運営しています。

カジノ建設が地価に与える影響として、カジノ建設自体だけでなく、交通の便もあります。2012年、「マリーナベイサンズ」地下に、各施設に直結するMRT鉄道環状線ベイフロント駅が開業しました。マリーナベイ駅は2016年にダウンタウン線も開通。新都心として利用者の増加が見込まれます。このような動きは、周辺の地価や不動産価格の上昇につながることでしょう。シンガポールでは、2011年に2つの統合リゾート(IR)が開業しました。シンガポール 個人住宅価格インデックスは、リーマンショック後の2009年の130ポイント程度から、2011年には200ポイントを超える上昇がありました。

先行投資のすすめ

日本での、少し古いニュースであり、カジノ関連ではありませんが、2012年5月に国土交通省が発表した全国主要都市の4月1日時点の地価動向報告によると、上昇率が最も大きかったのは「とうきょうスカイツリー駅周辺」(東京都墨田区)で、東京スカイツリー効果から3%以上の上昇を示しました。また、高層複合施設「渋谷ヒカリエ」が4月にオープンした「渋谷」(東京都渋谷区)も4年ぶりに上昇に転じたという記事があります。このように、ランドマークが建設されると、周辺の地価は上昇します。スカイツリー駅周辺では、2010年1月の公示地価を底として、スカイツリー開業(2012年5月)の2年ほど前から上昇に転じており、2010年から2014年までの上昇率は、15.5%となりました。

したがって、カジノ建設に際しても、スカイツリーと同等か、それ以上の地価上昇の効果があると考えてよいでしょう。カジノ建設候補地での不動産取得という先行投資がワークすると期待できます。以上のとおり、カジノ建設に伴い地価が上昇することが、シンガポールのカジノ建設と不動産価格の上昇の関係や、スカイツリーなどのランドマーク建設の際の周辺の地価上昇の事例からも、期待されます。有力候補地への先行投資がお薦めです。

【関連記事】
好景気で踊る不動産市場、富裕層が購入するべき物件とは?
名士が好み、移り住む本物の邸宅地 渋谷区大山町の魅力とは?
入居率97%のマンション経営、「空室なし不動産」の意外な見分け方とは?
不動産オーナー必見の賃料をあげる2つのポイント!

photo credit: williamcho via photopin cc