カジノ実施法が成立し、今後は具体的にカジノ誘致に向けた動きが日本国内でも活発化していくだろう。これまでも、カジノ解禁に向けて、日本国内では、カジノ関連銘柄は大きな値動きを見せてきた。
カジノ法案、悲願の成立
「日本にカジノを」という話が盛り上がったのは2013年から2014年にかけて。東京都では石原慎太郎元知事がカジノ推進派だったこともあり、2013年には猪瀬直樹元知事も「お台場カジノ構想」を提唱した。同じ頃、大阪の橋下徹元市長も大阪経済の起爆剤としてカジノ誘致を主張。安倍首相も「アベノミクス戦略特区」としてカジノの規制緩和を認める方向性を明らかにしていた。
このように「カジノ構想」を推進する背景にはマカオやシンガポールで、カジノを核とした統合型リゾートが経済成長のドライバーを果たしている事例があるからだ。
カジノが日本で実現されれば、観光の目玉となり、地域も活性化し、雇用拡大にもつながるとの見立てだ。ちなみにCLSA証券では、日本でカジノが合法化され、大規模カジノリゾート施設が2か所できれば、娯楽関連収入は少なくとも100億ドル規模になり、シンガポール(59億ドル)や米ラスベガス(62億ドル)を上回ると試算している。
そして、2018年の通常国会で、カジノ法案は成立した。 全国3カ所までとし、ギャンブル依存症の対策として日本人客の入場回数は週3日、月10日までに限るほか、1日あたり6000円の入場料を取るとの内容だ。
日本金銭機械は2013年に史上最高値
日本のカジノ関連銘柄の本命と言われている日本金銭機械 <6418> の株価のチャートから、カジノ関連の盛り上がりを振り返ってみよう。
同社は世界のカジノ向けの紙幣識別機などで実績が高く、カジノ関連銘柄の本命と言われている。カジノ解禁ムードが高まった2013年9月には2398円の史上最高値をつけた。2012年6月安値は566円だったので1年3カ月で株価は4.2倍になった計算だ。
日本金銭機械がその後高値を付けるのは2014年10月の2305円。カジノ法案が2015年の年初からはじまる通常国会に提出されることになったためだ。ただ、2015年の安倍政権は安保の審議を優先したことに加え、2016年には参院選を控えていたこともあって、カジノ法案は先送りとなった経緯がある。
今年7月に参院選というイベントを無事通過したことで、秋の臨時国会を9月末招集の日程で現在要請中だ。先送りになっていた消費税延期の関連法案、経済対策である2次補正予算案、TPP関連法案などとともに、カジノ法案が再審議される可能性が高まっている。
また、東京都に関しても舛添要一元知事はカジノに消極的だったが、小池百合子知事はカジノ含む複合型観光施設誘致に前向きと伝えられていることも好材料だろう。
日本金銭機械の株価も、2014年10月の2305円から2016年7月の安値737円まで68%下げていたが、参院選で自民党圧勝後、カジノ法案の期待感ともに7月22日の高値1284円まで1カ月もしないうちに74%も上げている。
その後、カジノ法案成立後の2018年8月6日には1,421円と1ヶ月前の1,181円から20%以上も上昇した。