カジノ,セガサミー,日韓関係
(写真=PIXTA)

日本版IR解禁目前にして、日本企業は、着々と、カジノ事業のノウハウ吸収などを目的として、海外に乗り出している。

その代表がセガサミーホールディングスだ。セガサミーホールディングスは、日本だけでなく、世界のカジノ市場への売り込みを目的として、すでに韓国でカジノを運営する会社への出資を行なっている。

セガサミーのカジノ事業参加へのプロセスを追う。

目次

  1. カジノ運営のノウハウを蓄積したいセガサミー
  2. パラダイスシティに期待をかける仁川市と空港関係者

カジノ運営のノウハウを蓄積したいセガサミー

セガサミーホールディングスがパラダイスシティに出資した目的は2つある。カジノ事業のノウハウ蓄積と海外進出の足がかりだ。

セガサミーではカジノ関連事業を新たな収益源と見込んでおり、パラダイスシティへの運営参加で、日本でのカジノが解禁に備えたノウハウの習得を期待している。日本で2016年12月15日、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR整備推進法(カジノ法)が成立し、2018年7月20日カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が成立したが、セガサミーはカジノの専用遊技機を開発中で、日本のみならず、アジア諸国・地域を中心に観光客を取り込み、世界各地のカジノに売り込んでいきたい考えがある。

合弁先のパラダイスグループは、今回オープンしたパラダイスシティのほかに、ソウルのウォーカーヒルや釜山、済州でカジノを運営。仁川を含めた2017年度のグループ連結売上8800億ウォン(約840億円)、2018年には1兆1000億ウォンを見込んでいる韓国カジノの最大手である。

セガサミーホールディングスは、仁川のパラダイスシティとは別に、2015年3月9日には韓国・釜山市と同市海雲台区の複合都市「センタムシティ」のMICE施設に関する業務協定を締結した。締結時に見込まれた投資規模は、4685億ウォン(約509億円)で、セガサミーホールディングスがホテルやコンベンション施設、シッピングセンターの建設と運営を担う。協定には建設と運営で地元の業者や人材を最大限雇用するなど地域の雇用創出に貢献する内容も盛り込まれていたが、2016年12月22日に事業の中止を発表した。建設に時間がかかっている間に競合他社の参入が相次ぎ、収益を上げづらいと判断したというが、宿泊施設や屋内外のテーマパークが中心で、カジノが許可されなかったため中止したという憶測が飛びかっている。

パラダイスシティに期待をかける仁川市と空港関係者