カジノ
(画像=PIXTA)

目次

  1. はじめに
  2. カジノ解禁での主なデメリット
  3. 治安悪化による社会的コスト増
  4. マネーロンダリングによるデメリット
  5. 貧富の差の拡大とバブル
  6. マネーロタリング、バブルの誘発が大きな問題

はじめに

2018年通常国会で、カジノ法案が成立した。カジノには賛否両論があり、いまだに、ギャンブル依存症をはじめとした様々な懸念が残っている。

日本にカジノが誘致された場合、どんな経済効果があるのだろうか。

カジノ解禁での主なデメリット

カジノ解禁による主なデメリットは以下が挙げられる。

  1. 治安の悪化による警備コストの増加
  2. ギャンブル依存症増加による勤労意欲の減少、失業増
    3.マネーロタリングにカジノの掛け金が活用
    4.貧富の差の拡大

治安の悪化はマカオを例にとると、カジノのVIP ルームでの競争激化を発端にマフィア間の抗争に発展し、一時治安が悪化したことがある。カジノが観光客で構成される小口客を対象にすると治安悪化には繋がりにくいが、大口客のコントロールがうまくいかないと治安悪化に繋がる可能性がある。

また、カジノ解禁によってギャンブル依存症への懸念も指摘されている。ギャンブル依存症は、世界的には1~2%が標準的な水準だが、マカオでは1.8%。米ラスベガスでは3%程度であり、カジノがある地域が特段高いわけではない。日本でもパチンコ等によるギャンブル依存症が発生していることから、カジノ解禁で特段増加するとは考えづらいと思われる。

カジノ解禁によって懸念されているのは、マネーロンダリングにカジノが活用されてしまうのではないかという点だ。

マネーロタリングへの活用は、不正に入手した資金をカジノのチップに換え、それを円などに変えることで、あたかも合法的に資金を入手したかのように見せる仕組だ。人民元から外貨への持ち出しが禁じられている中国では、人民元をマカオでチップに換え、それを香港ドルの小切手に換えることで、不法に人民元を香港ドルに換えるマネーロタリングが行われている。

カジノ解禁にあたってマネーロンダリングにどのように対応していくのかは、課題と言えるだろう。

カジノ解禁によって貧富の格差拡大も指摘されている。貧富の差の拡大は、富裕層が集中し、富裕層が投資することで不動産や株の高騰、そしてバブルの発生が考えられる。

治安悪化による社会的コスト増

また、カジノ解禁により、治安が悪化し、その結果警察サービス等にかけるコストが増加するのも一般的なカジノ解禁のマイナスの影響として挙げられている。治安の悪化の際に考慮しなくてはならないのは、機会費用の発生だ。

例えば、治安悪化の評判が広まることでの訪日外国人観光客の減少。また、治安悪化でカジノや周辺商業施設の深夜時間帯の営業を禁止することになれば、その分カジノや周辺商業施設の収入が減るなどの、マイナスの影響が発生することが考えられる。

マネーロンダリングによるデメリット