火災保険と地震保険、それぞれの補償内容は?

自然災害に備える保険,平野敦之
(画像=THE21オンライン)

自然災害は、家や家財など、大切な財産に大きなダメージを与える。そのリスクに備える方法の一つが、保険に加入することだ。とはいえ、どんな保険に入れば、どんな補償が受けられるのか、わかっていない人は意外に多いのではないだろうか。そこで、損害保険のプロ・平野敦之氏に、自然災害に備える保険について教えてもらった。

基本の「火災保険」。注意すべき点は?

自然災害に備える保険は、火災保険が基本です。

火災保険の補償対象は、火災だけではありません。ガス爆発や盗難、漏水事故などの他、落雷や水災、「風災・雪災・雹災」も対象になっているのが一般的です。

地震や火山の噴火、また、それらに伴う津波については、別途、地震保険に加入する必要がありますが、地震保険は単体で加入することができず、火災保険とセットでしか入れません。

火災保険も地震保険も、専用住宅なら、補償対象には「建物」と「家財一式」の二つがあります。加入する際は、持ち家なら、両方ともか、建物だけを補償対象にするといいでしょうし、賃貸なら家財一式が補償対象になります。

水災は火災保険の補償対象になっていると述べましたが、各社から出ている様々な火災保険の多くは、水災を補償対象から外すこともできるようになっています。

具体的には、多くの火災保険が三つから六つほどの補償プランを用意しており、水災を補償対象にしないものも選べるようになっています。

また、ネット系の損保会社を中心に、火災や落雷などを基本的な補償対象として、水災や「風災・雪災・雹災」などについては自分で選ぶようになっている商品もあります。

水災で保険金を受け取るための要件は多く、基本的に床下浸水は対象になりません。損保会社によって違いますが、床上浸水、もしくは地盤面から45cmを超える浸水であることなどが要件になっています。マンションの上階や高台に住んでいて、床上浸水などの心配がない人が、水災を補償対象から外して保険料を安くすることができるようになっているわけです。

木造の家だと、床下浸水でも基礎や柱に損害が出ますが、多くの場合、補償対象外です。

一方で、土砂崩れは水災に含まれます。ですから、床上浸水の心配がなくても、裏山があったりすれば、水災も補償対象に入れることを検討したほうがいいでしょう。

水災を補償対象にするかどうかの検討に際しては、国交省が発表しているハザードマップなどを見たり、昔からの住人に話を聞いたりして、自分が住んでいる地域のリスクを把握すること。一戸建てなのか、マンションなのかなど、住宅の特性も考慮してください。

保険料が高いと感じれば、免責金額をつけたり、損害額の一部を自己負担に設定したりすることで、安くすることもできます。

水災は保険金が支払われる要件が細かいので、よく確認する必要があります。支払われる保険金の額も、会社によって規定が違います。