古い火災保険には水災が対象外のものも

火災保険は、1998年に自由化されました。それ以前は、住宅用の火災保険は、「住宅火災保険」と「住宅総合保険」の二つの商品の販売が中心でした。

会社によりますが、これらは2009年頃まで販売されていましたし、15年10月の改定までは、火災保険の契約期間は最長36年だったので(改定後は最長10年)、今もこれらに加入している人も少なくないと思います。

このうち、住宅火災保険は、水災が補償対象になっていません。また、住宅総合保険は、水災も補償対象になっているのですが、最大でも損害額の70%までしか補償されません。

住宅を買ったときに35年ローンを組み、同時に35年契約で火災保険に入ったあと、補償内容を確認せずに放置している人もいるでしょう。もしそうなら、いざというときのために、加入している火災保険の補償内容を確かめておきましょう。

今の火災保険と違って、住宅火災保険や住宅総合保険を超長期で契約した場合は、建物の価値を時価で評価するので、時間が経つにつれて支払われる保険金が少なくなっていくという特徴もあります。

ただ、住宅火災保険や住宅総合保険に入っている人は、今の火災保険に切り替えたほうがいいのかというと、そうとも限りません。保険料が高くなるケースが多いからです。被災するリスクを考えて、どうするか判断するのがいいでしょう。

他の保険と大きく違う地震保険の特殊性とは?

地震保険は、火災保険など、他の保険と性格が違います。火災保険と一緒に加入するので混同している人が多いのですが、まったく別の制度です。

保険は、皆でお金を出し合って、困った人がいれば、そのお金で助け合うという、相互扶助の考え方で運営されています。

しかし、地震は多数の人が同時に被災するので、相互扶助の考え方がそぐいません。

そのため官民一体で運営されていて、どの損保会社で加入しても同じ内容になっています。

また、支払われる保険金についても、火災保険と大きな違いがあります。損害額がいくらなのかに関係なく、建物が「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四つの区分のどれに当たるかによって、受け取る保険金が決まるのです(家財一式についても同じ4区分で鑑定される)。

例えば、全損だと鑑定されれば、契約した保険金額の100%が支払われます。ただし、地震保険の保険金は、火災保険の30~50%の範囲でしか設定できません。例えば、2000万円の火災保険をかけている家であれば、地震保険の保険金は600万~1000万円の範囲でしか設定できないのです。しかも上限額もあり、建物については5000万円までしか支払われません(家財一式については1000万円が上限)。

また、門塀が崩れただけだと、建物の主要構造部(柱など)に損害が生じていないので一部損にも当たらないと鑑定されて、保険金はゼロです。

地震保険の保険料は安くはありませんから、こうした補償内容では不満だという人もいます。しかし、いざ地震が起きて被災したときに加入していないと困る可能性もありますから、加入するかどうかは考え方次第でしょう。いずれにせよ、地震保険の特殊性を理解しておくことが重要です。

ちなみに、地震による火災で家が焼けた場合は、火災保険ではなく、地震保険の補償対象になります。地震保険に入っていなければ、保険金をもらえません。