生命保険に加入する際、ほとんどの場合健康状態の告知が必要だ。加入時に告知を忘れた場合、告知義務違反となり、保険金を受け取れなくなる可能性がある。正しい告知を知っておくと後々のトラブルを回避できるため、ポイントを押さえておくことが重要だ。
生命保険の告知が重要なワケ
生命保険は、相互扶助で成り立っている。告知は契約者の負担を公平にするために必要な行為で、生命保険会社が契約の引受可否を判断する上で重要であるため、記入漏れがないようにしたい。
生命保険には2種類の告知がある
告知には、職業の告知と健康状態の告知がある。危険な職業に従事している人、過去の傷病歴がある人は保険金を受け取る可能性が高く、同条件の契約だと保険料負担に偏りが生じてしまう。告知事項に該当すると契約できない場合もあるが、職業や病歴を正しく告知することで、保険料の割増や特定部位の不担保など条件のついた契約になるケースもある。
健康状態はありのままを告知しなければいけない
生命保険の告知は主に書面で行われ、生命保険会社所定の告知書に自身が記入する。事前に担当者と健康状態の相談をしている場合も、ありのままを告知書に記入する。営業職員などの生命保険募集人や代理店、生命保険面接士には告知受領権がなく、口頭で伝えても告知したことにはならない。故意に病歴を告知せず契約した場合、給付金が支払われないだけでなく契約解除になるため注意したい。
生命保険の告知はどこまで? おさえておきたい6つのポイント
告知事項は契約する商品によって多少異なるが、主に次の6項目が尋ねられる。
(1)今までに悪性新生物・上皮内新生物・網膜色素変性症と診断されたことがあるか。
(2)過去5年以内に以下に該当する事項があるか。
・7日以上の入院や手術
・生命保険会社が指定する病気での医師の診察・検査・治療・投薬
・生命保険会社が指定する病気以外で、初診日から最終受診日が7日間以上にわたる医師の診察・検査・治療、または通算7日分以上の投薬
(3)直近3ヵ月以内で医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか。
(4)過去2年以内に健康診断か人間ドッグを受けて、異常(要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたことがあるか。
(5)以下に該当する事項があるか。
・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がある
・手・足・指・背骨・関節に、欠損・変形・障害がある
・身体障害者手帳の交付を受けたことがある(申請中も含む)
・要介護・要支援の認定を受けたことがある(申請中も含む)
(6)(女性のみ)現在、妊娠しているか。
(3)は投薬期間などに関わらず、1回でも医師の診察や投薬などを受けていたら告知が必要となる。風邪やインフルエンザの場合でも記入が必要な場合もある。
⑷は保険会社によっては、要経過観察でも告知が必要な場合もある。異常を指摘されてから医療機関を受診していない場合でも、告知が必要だ。結果票を持っている場合は、告知書と併せて提出したほうがいいケースもある。
(1)~(6)に該当する項目がある場合、時期も記入する必要があるため事前に確認しておくとスムーズだ。定期的に検診や診察を受けている場合や、投薬で症状が落ち着いている場合、治療の必要があるにも関わらず自己判断で中断した場合も記入しなければならない。医師が記入する書類が必要になることもある。告知について悩んだ場合は自己判断せず、保険会社に確認しよう。
生命保険の告知を忘れたらどうなる?どうする?
加入時に病歴を告知しなかった場合、責任開始日から2年以内であれば告知義務違反として契約を解除される可能性がある。契約解除になると、保険金や給付金に該当する事項が発生していたとしても支払われない。解約返戻金がある場合は支払われるが、払い込んだ保険料は戻ってこない。故意でなかったとしても、告知義務違反になるケースもある。
責任開始日から2年以上経過していれば契約解除の対象外だが……
責任開始日から2年以上経過している場合、告知義務違反での契約解除の対象外となる。しかし、保険会社によっては「現在の医療水準では治癒が困難または死亡危険のきわめて高い疾患の既往症・現症等について故意に告知されなかった場合」など、告知義務違反の内容が特に重大な場合は、2年経過後でも契約を取り消すと定められている。
告知義務違反をして2年以上経った契約でも、支払い事由が2年以内に発生している場合は契約が解除になることがある。例えば椎間板ヘルニアで通院していることを隠して契約し、1年半後に椎間板ヘルニアで入院した場合は、責任開始日から2年以上経過して請求しても契約解除になる可能性が高い。
生命保険の告知を忘れてしまった場合の対処法
契約後に告知書に病歴を書き忘れたと気づいた場合、早急に保険会社に連絡し、告知の追加方法について確認しよう。既に給付金の支払い事由が発生している場合や、責任開始日から2年経過している場合は、告知内容の訂正ができない保険会社もある。追加で告知をすると、責任開始日が追加で告知をした日に変更される。
もしも生命保険会社の担当者から「告知しなくてもいい」と言われたら……
告知について、担当者に相談し「告知しなくてもいい」と言われて告知しなかった場合は、不告知教唆となり保険会社が契約を解除することはできない。しかし後々トラブルに発展する可能性もあるため、保険会社に直接問い合わせるほうが賢明だろう。保険会社の中には、告知についてフリーダイヤルで確認できるところもある。保険金や給付金を受け取るためにも、正しくありのままを告知して加入することが重要だ。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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