要旨
- 2018年時点でキャッシュレス決済比率は24%にまで達しており、クレジットカード決済を中心に伸びている。
- しかしながら、海外各国のカード決済額の規模と比べてまだまだ小さい。
- 日本政府によるキャッシュレス化推進の当初目的はインバウンド(訪日外国人)対策であったが、それに加えて、最近は業務効率化やビッグデータ利活用も重視されている。
- 大手企業は業務効率化やビッグデータ利活用をすすめるべくキャッシュレス化に積極的だが、中小企業はメリットが相対的に小さくキャッシュレス化のコストの負担感が大きいため及び腰になる。
- 消費者はキャッシュレス決済の選択理由に「経済メリット」や「支払金額の大きさ」を重視している。
- 一方で店舗サイドにキャッシュレス化のコストや手間をかけることを憂慮して現金決済を選択するような行動も見られる。
- ポイント還元策を含め、日本政府の方針はキャッシュレス決済を義務化するような方法論ではなく、当事者(消費者、決済サービス事業者、店舗)のインセンティブを高めるような手法をとっている。
- これまでの日本のキャッシュレス化は、消費者にとっても店舗にとってもインセンティブの大きい、「単価が高い」&「大手企業が販売する」商品を中心に進展してきた。
- 政府によるポイント還元策の導入は「単価が高い」&「中小企業が販売する」商品、「単価が低く」&「大手企業が販売する」商品のキャッシュレス化に対して効果的である。
- 「単価が低い」&「中小企業が販売する」商品については、キャッシュレス化は進展しづらく、全国共通で公共的な即時型の決済サービスの普及が待たれる。