2019年6月20日(木)Market Talkの内容
●利下げをすることになった場合の株価への影響は
株価は既に利下げ期待だけで最高値圏にある。アメリカの景気は米中貿易戦争の影響で製造業の景況感は悪化しているが、関税がかけられるといった話になれば悪くなるのは当たり前。Fedは予防的に金利を引き下げようというスタンスを出しているが、消費は堅調であるなど実際に景気は悪くなってはいない。今景況感が混在している中では判断がつきかねる、ということがポイントなのだろう。このような状況で景気が悪くないのに予防的に引き下げたらバブルになってしまうのではないか。 本当に利下げがあるかどうかは分からないが、この先もずっともやもやしていくのだろうというのがメインシナリオだ。。
●利下げ見送りの場合、為替への影響は
普通は利下げ見送りであればドルが買い戻されるということだろうが、利下げ見送りでマーケットが混乱した場合は見送りでも円高というリスクがあるのではないか。リスクオフということと、利下げしなかった場合はアメリカの景況感の改善が難しいという思惑から円高になってしまうことも考えられる。
皮肉なことだが、今まで利下げを織り込んで円高に動いてきた部分があるのに、利下げ見送りになったとしてもマーケットが荒れるために円安ドル高にならない可能性がある。注意しなければいけないだろう。
●今後のマーケットの展望は
基本的なシナリオとしては、7月の利下げはないと思うが、その後のデータ次第で9月以降は利下げがあってもおかしくはない。だとするとマーケットにとってのダウンサイドリスクはないと思ってよいのではないか。年後半の景気回復が多少遅れたとしても、来年にはかなりの蓋然性で景気が戻る。その要因として、トランプ大統領が正式に2020年大統領選に再出馬を表明したことが挙げられる。選挙モードに入ってくればその時にアメリカの景気が悪化していたら困るので - だから金利を下げろと言っているわけだが - インフラ投資など大統領選に向けて景気対策を打ってくる。中国も2020年は所得倍増計画の達成年度にあたる。また2021年は共産党創立100周年で、これに向けて絶対景気を落とさないといったモードに入ってくる。自然な景気循環で年後半の景気回復があれば、株価は大きな上昇が見込めるのではないか。
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広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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