ITを駆使して医療分野の問題を解決する「ヘルステック」が近年脚光を集めている。病気に関するビッグデータの活用から、患者自身の健康管理、効率的な医療体制の構築まで、その恩恵は幅広い。5G(次世代高速通信システム)の本格稼働によって、遠隔診療や画像診断、ロボットによる治療といった可能性も広がり、投資テーマとしても重要度を増しつつある。

株式新聞,ヘルステック
(画像=PIXTA)

少子高齢化に伴う人材不足や長時間労働は、医療や介護現場が抱える大きな問題だ。解決の希望は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボット、ビッグデータといった先端IT技術にある。

政府が導入を推進しているのが、患者の情報を医療機関で共有する次世代ヘルスケア・システム。個人の健診や診療、投薬などに関するデータを一元的に管理することで、スムーズな運用が可能になる。現場では介助ロボットやAIの導入が進むほか、服薬指導を含めたオンライン診療も解禁された。

経済産業省は、2025年に国内のヘルスケア産業が16年比で1.3倍の33兆円に拡大する見通しを示す。ITが市場成長をけん引し、5Gによってさらにすそ野が広がることが期待される。医療分野のIT化は相対的にまだ遅れているだけに、参入余地も大きい。

LINE(3938)は、医療従事者向けサイトを運営するエムスリー(2413)と組み、オンライン医療事業に乗り出す。年中にも遠隔での医療相談サービスを開始するほか、医薬品の宅配サービスも視野に入れる。

ヘルステックが業績に貢献する企業も現れつつある。フリービット(3843)の前4月期、薬局やドラッグストアの検索サイトや、処方箋(せん)を記録するスマートフォンアプリ版のお薬手帳の事業が黒字に転じた。今期は介護施設向けにも展開する。

EMシステムズ(4820)は、ヘルスケア分野に広くまたがる共通情報基盤を開発した。実務面で連携する医科と調剤、介護の現場をクラウドでつなぐシステムを早ければ7月にも本格投入する。カルテや薬歴の作成といった煩雑な業務を効率化し、一部の事業者の間には先行して導入し、好感触を得ている。

都築電気(8157・(2))も介護事業者向け管理システムを手掛け、昨年には富士通(6702)などと介護現場で使うコミュニケーションロボットも投入した。このほか、メドピア(6095・M)は医師向け情報やオンライン健康相談サービスを展開する。 介護システムのカナミックネットワーク(=カナミックN、3939)、ウェアラブルロボットのPALTEK(7587・(2))もマークしたい。(6月20日株式新聞掲載記事)

>>話題のテーマや注目株を一足早くお届け「株式新聞WEB」限定プレミアム銘柄も

【関連株式ニュース 株式新聞へ】
きょうのストップ安銘柄=21日―1銘柄(気配含まず)
きょうのストップ高銘柄=21日―7銘柄(気配含まず)
ブランディの売買で、成り行き買い注文の禁止など規制措置=東証
21日後場マーケット情報=日経平均は204円22銭安の2万1258円64銭
マザーズ指数反落、Sansanは高い=新興市場・21日