要旨

共働き世帯の家計分担
(画像=PIXTA)
  • 共働き世帯の家計管理方法は、若いほど、また、妻が高収入の世帯ほど「共同管理」や「支出分担のみ」など、夫婦どちらかに偏らない傾向がある。共働き夫婦の年収は比例関係にある。よって、妻が高年収ほど、家計の余裕から、夫婦それぞれの財布を持つ割合が高まる。
  • 共働き世帯の家計分担状況は、家族全体や子ども関連の支出は基本的に夫婦共通の財布の配分が高く、住居費など高額な支出は夫の負担が高まる。なお、理美容やファッションなどの夫婦の個人的なものは各自負担している。全体としては僅かだが、両親の援助等は、住居購入や光熱費等の固定費、孫への援助といったものに見られる。
  • 家計分担状況は、家計を「夫が管理」していると夫担当の費目が多いが、「妻が管理」していても妻担当ではなく、夫婦共通のお金からが多い。「一部共同管理」などでは、夫は住居費や自動車等の高額なもの、妻は子ども関連や食費など日常生活に関わる比較的少額なものを担当している。
  • 「共同管理」の多い若い世帯ほど、全体的に夫婦共通のお金からの配分が多く、夫の負担が少ない。また、妻が高年収ほど、理美容やファッションなど夫婦の個人的な費目の各自負担が増え、食費や住居費等における妻の配分も増える。しかし、妻の担当は食費など日常生活関連のもので、比較的少額のものにとどまっているようだ。
  • 新入社員男性の育休取得意向が高まる若い世代ほど「稼ぐのは夫、家庭のことは妻」という役割分担意識は弱まっており、消費市場で求められる商品も変わる。現在のところ、家事・育児関連商品の主なターゲットは母親だが、今後は父親に向けた訴求の効果も高まるだろう。
  • 一方で、女性の経済力が増す若い世代ほど、夫婦それぞれの財布を持ち、個人的な出費は各自が負担する傾向が強い。今後、「家計の個別化(個計化)」がさらに進む中で、どのような消費者がどのような財布を持ち、どのようなニーズを持っているのか。新時代は、より「個」という観点に重きを置きながら消費活動を捉える必要がある。