要旨

平均退職年齢,就業率目標
(画像=PIXTA)

6/21に閣議決定された「成長戦略実行計画」では、人生100年時代を見据えた70歳までの就業機会の確保が盛り込まれた。65歳定年を導入している企業の割合は2割以下、66歳以上働ける企業の割合は3割以下にとどまっているが、実際には4割近くの人が70歳になっても働いている。

年齢別の就業率をもとに推計した平均退職年齢は2018年には69.9歳(男性71.4歳、女性68.4歳)となった。平均値でみれば70歳まで働くという目標はすでに達成されているという見方も可能だ。

現在の70歳の平均余命は約18年だが、今から50年前は60歳の平均余命が18年だった。近年、注目度が高まっている健康余命が平均余命と同じように延びているとすれば、現在の70歳の健康状態は50年前の60歳に相当すると考えられる。

平均余命が18年の年齢における就業率は近年上昇を続けており、2018年(70歳)は39.7%となったが、今から約50年前の1970年(60歳)には60%を超えていた。平均余命や健康余命が延びていることを考慮すれば、高齢者は昔よりも長く働くことができるはずだ。

人口減少、少子高齢化は今後さらに加速することが見込まれるため、高齢者の継続雇用を一段と進めなければ、人手不足が日本の経済成長の制約要因となってしまう恐れがある。2025年までに65~69歳の就業率を現在よりも5%ポイント程度引き上げるという政府目標は低すぎるように思われる。