いよいよ2019年10月から消費税が10%に引き上げられます。10%という税率が高いと感じるかもしれませんが、世界各国に比べるとどうでしょうか。今回の増税を機に世界各国の消費税率について知り、我が国の消費税引き上げについて改めて考えてみましょう。

消費税と付加価値税

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(画像=karen roach/Shutterstock.com)

消費税率を国で比較する際に知っておく必要があることが、「消費税」と「付加価値税」の関係です。付加価値税は海外に行くとよく耳にしますが、この2つは呼ばれ方が違うだけで、基本的には同じものです。

付加価値税は英語で「Value Added Tax」と書き、短縮形では「VAT」と表現されます。海外旅行で買い物をしたとき、レシートの中でVATという表記を見かけたことがある人も少なくないのはないでしょうか。

付加価値税はフランスで初めて導入され、現在では少し異なる形態で導入しているアメリカを除いたOECD(経済協力開発機構)の加盟国33ヵ国全てで採用されています。全世界でも既に100ヵ国以上で導入されています。

世界各国における税率は?

国税庁が2018年1月現在のデータとしてまとめている消費税(付加価値税)の各国の標準税率表によれば、ヨーロッパが日本を含むアジア各国に比べて税率が高くなっています。

ヨーロッパでは20%以上が主流

主なヨーロッパ各国の付加価値税の標準税率は下記の通りです。

27%:ハンガリー
25%:デンマーク、スウェーデン、ノルウェー
22%:イタリア
21%:ベルギー、オランダ
20%:オーストリア、イギリス、フランス
19%:ドイツ
17%:ルクセンブルク

この中ではドイツとルクセンブルクのみ20%を割っていますが、そのほかは20%以上となっており、デンマークとスウェーデン、ノルウェーは25%、さらにハンガリーは27%と高くなっています。

各国の消費税率の推移をみますと、付加価値税の導入後、国によっては一時的に税率が引き下げられた時期も見受けられますが、基本的には徐々に税率が引き上げられる傾向にあります。例えばドイツでは導入時は10%でしたが2018年1月現在は19%まで、ドイツと同じ税率で導入したデンマークも25%まで引き上げられています。

EU(欧州連合)では1992年改正の「EC指令」によって、付加価値税の標準税率を15%以上とすることが定められています。

アジアは10%前後が主流

アジア各国の付加価値税の標準税率は下記の通りです。

18%:トルコ
17%:中国
12%:フィリピン
10%:韓国、インドネシア、カンボジア、ラオス、ベトナム
8%:日本
7%:タイ、シンガポール
6%:マレーシア
5%:台湾

アジア各国のほうが欧州に比べて税率が低くなっています。1984年に付加価値税を導入した中国は税率が17%、トルコが18%とアジアの中では突出していますが、ほかの国は5〜12%の範囲内です。そして特に税率を10%としている国が目立ちます。韓国やインドネシア、カンボジアなどです。

税率の推移でいえば、お隣の韓国では日本より早い1977年に付加価値税が導入され、それ以降は現在まで税率は変わっていません。一方で日本は1989年に消費税を3%の税率で導入しましたが、その後、1997年に5%、2014年に8%に引き上げられています。

日本の税率は国際的に目立って高いわけではない

消費税の税率の国際比較をしましたが、日本の税率が他国よりも高くなるわけではないことが分かりました。

どの国でも国民に課される税率は消費税だけではありません。ほかの税制として、所得税や法人税、相続税、贈与税などが挙げられ、消費税率が低いもしくは高いということだけでその国の税制全体に対するイメージを持つのは早計であることも覚えておきましょう。(提供:JPRIME


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