4月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も5月中旬に終了しましたが、日本経済新聞の集計によると前期は自動車や機械などの製造業の苦戦が目立ち純利益が小幅ながら3期ぶりの減益となってしまいました。しかし、こうしたなかでも健闘し前期に過去最高益を更新した銘柄もあります。
そしてそうした銘柄のなかには前々期に続いて最高益を更新した銘柄もみられます。そこで投資のヒントでは5割以上や3-4割台、2割台の大幅な増益で前々期の最高益を更新した銘柄を取り上げてきましたが、今回は1割台後半の営業増益で前々期の最高益を更新した3月決算銘柄をピックアップしてみました。例えば信越化学工業(4063)では2割近い営業増益で前々期の最高益を更新しています。
<決算メモ>
●ニトリホールディングス(9843)- 円安の影響で営業利益は横ばい -
ニトリホールディングスが3日に発表した2020年2月期の第1四半期の決算は売上高が前年同期比6.1%増の1673億円、営業利益がほぼ横ばいの304億円となりました。売上高は国内外での店舗数が前年同期末に比べ51店舗増加したことに加え、既存店売上高が前年同期比4.9%増と堅調に推移したこと、さらに通販事業も高い伸びとなったことなどから増益を確保しています。
営業利益は円安(108.06円→111.23円)によって粗利益率が悪化(55.2%→53.9%)したことや、発送配達費増などによる販管費の増加もあって微増に止まっています。こうしたなか既存店売上高2.3%増、1ドル110円を前提とした通期の業績予想(売上高が前期比5.7%増の6430億円、営業利益が3.2%増の1040億円)は据え置きとなっています。
昨年12月にグローバル事業強化プロジェクトを立ち上げ見直しを進めている中国事業は商品の日本との共通化が55%まで上がってきていることなどもあって既存店がプラスになるなど徐々に成果が出てきているようです。しかし、今期、来期は再来期からの二桁出店に向けてスクラップ・アンド・ビルドを進めるなど立て直しに専念する計画のようです。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト
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