レノバや五洋建に注目――穴株は戸田建
地球温暖化対策が各国に強く求められる中、日本は二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを2030年度までに13年比で26%削減する目標を掲げる。残された時間が多くない状況で、関心を集めているのが洋上風力発電だ。法改正を受け商用化の機運が高まりつつあり、関連銘柄を探りたい局面だ。
CO2を排出しない「ゼロエミッション電源」の比率向上へ向け、洋上風力発電は有力な手段とみられる。洋上は陸上と比べて風が強い場合が多い上、より大型の風車を設置できる。設備の利用率と効率に優れることで、事業者は高い収益性が期待できる。
洋上風力発電をめぐっては従来、手続きが比較的容易な港湾区域での取り組みが先行してきた。一方、煩雑なルールがネックとなり開発が遅れていた海洋の大半を占める一般海域についても、今年4月に施行された再エネ海域利用法によって、事業者が最大30年間海域を占有する権利が得られるようになった。
日本では現在、東北地方の港湾区域と一般海域を中心に複数の洋上風力発電の大型案件について環境アセスメント手続きが進められている。再生可能エネルギー発電のレノバ(9519)が主導する秋田県由利本荘市沖の出力規模70万キロワットのプロジェクト(21年度着工)には、東北電力(9506)などが参画する。
レノバの由利本荘市沖の案件が24年度から順次運転を予定しているように、20年代には洋上風力発電の稼働が本格化する見通し。日本風力発電協会によれば、日本の着床式の洋上風力発電の潜在市場は全国の一般海域で9100万キロワットに上る。これは原発90基以上の規模に相当する。
エネルギー事業者としては、専業で既に案件のあるレノバが最有力とみられる。また、東京電力ホールディングス(9501)は千葉県銚子市の南沖合で、国内初の設備を今年商用化した。Jパワー(9513)と住友商事(8053)も直近、長崎県西海市沖での事業開始を視野に海底の地盤調査を始めたと発表した。
一方、発電設備の建設や機材のメーカーにもチャンスが広がりそうだ。特にマリコン(海洋土木)は有力。五洋建設(1893)は施工実績があり、昨年には大型クレーンを搭載したSEP(自己昇降式作業台)型多目的起重機船が完成した。東洋建設(1890)や東亜建設工業(1885)も商機を探る。
発電機では三菱重工業(7011)が最右翼の位置付け。造船の三井E&Sホールディングス(7003)や、プラントの日揮(1963)、大林組(1802)、日立造船(7004)なども積極的だ。
穴株としては、ゼネコン準大手の戸田建設(1860)を狙いたい。同社は浮体式の洋上風力発電の技術に力を入れ、専用船も開発した。浮体式は設置できる海域の幅が着床式よりも広い。21年春に、長崎県五島市崎山漁港沖の発電施設の運転を目指す。
このほか、資源探査で応用地質(9755)、日本アジアグループ(=日本アG、3751)、洋上風力発電施設へのアクセス船で東京汽船(9193・(2))などが浮上する。(7月18日株式新聞掲載記事)
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