マンション経営にトラブルはつきものです。管理組合や管理会社との付き合いでも、いざこざはあるでしょう。そこで役に立つのが、マンション管理のプロになれる資格です。取得するとメリットが多い「マンション管理士」とは、どのような資格でしょうか。

一棟マンションオーナーの仕事はハード

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(画像=Olena Yakobchuk/Shutterstock.com)

区分所有オーナーであれば管理は容易ですが、一棟所有となると様々な業務を行なわなければなりません。主な業務は以下の通りです。

・入居者の募集や退去者への手続き
・入居者や近隣住民とのトラブル対応
・日常的な清掃や点検
・家賃の回収や未納者への督促

管理会社に上記業務を委託しているオーナーは多いですが、それでも管理組合や管理会社との交渉はあるので、管理に関する一定の知識は必要でしょう。

アパートやマンションを経営すること自体に資格は必要ありませんが、一棟マンションオーナーが持っていると管理業務に役立つ資格はあります。

マンション管理士とはどのような資格か?

不動産系の国家資格の中でも、超難関といわれているのが「マンション管理士」です。2018年度の受験結果を見ると、受験者数1万2,389人に対して合格者数は975人で、合格率はわずか7.9%です。

マンション管理士は、管理組合の運営・相談、大規模修繕の計画立案、住民との権利関係調整など重要な役割を担うマンション管理のスペシャリストです。管理会社に必要な申し出や助言をする立場でもあることから、「管理組合のサポート役」とも言える存在です。「名称独占資格」のため、マンション管理センターに登録しなければマンション管理士と名乗ることはできません。

自分の物件を管理できる

では、マンション管理士の資格を持つとどのようなメリットがあるのでしょうか。最大のメリットは、マンション管理士に委託しなくても、自分で物件を管理できることです。

マンション管理士の顧問料は総戸数や単棟か複数棟かによって違いますが、月額3万5,000円~5万円程度が相場です。この他に管理会社変更業務や管理規約の見直し、大規模修繕工事計画策定を依頼する時には別途数十万円の費用がかかるので、長い目で見るとかなりのコスト負担となります。

自分がマンション管理士になれば、余分な費用をかけることなく物件を管理でき、管理会社や修繕業者等に直接指示を出せるようになります。

コンサルティング業務で副収入も

「コンサルタント(顧問)業務」を行なえる点も見逃せません。コンサルタント業務は何といっても実績がものを言います。単なる知識だけでなく、自分の物件を管理していることで実践的な提案や助言ができます。他のマンションから依頼を受ければ上記の顧問料が入るため、効率の良い副業を行なうことができます。

一棟マンションオーナーにとって強い武器になるマンション管理士の資格ですが、合格率が7.9%と狭き門なので、取得するのも容易ではありません。

そこで、先に「管理業務主任者」の資格を取る方法があります。管理業務主任者は、重要事項説明や契約書への記名・押印などが主な業務ですが、2018年度の合格率は21.7%なのでマンション管理士よりは難易度が低いです。管理業務主任者になるとマンション管理士試験で問題の一部が免除になるため、先に管理業務主任者の資格所得を目指す人も多いようです。

マンションの建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要なため、今後も建て替えよりも大規模修繕のほうが圧倒的に多くなることが予想されます。

超難関と言われるマンション管理士の資格ですが、一度資格を所得してしまえば、これからのリノベーション社会において活躍の場が豊富に用意されているといっても過言ではないでしょう。(提供:YANUSY

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